セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 008:

胃、十二指腸、直腸、肝転移を認めた左脈絡膜原発の悪性黒色腫の一例

演者 蜂谷 眞未(東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科)
共同演者 佐藤 憲一(東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科), 高見 信一郎(東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科), 上竹 慎一郎(東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科), 有廣 誠二(東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科), 穗苅 厚史(東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科), 石川 智久(東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科), 高木 一郎(東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科), 田尻 久雄(東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科)
抄録 【緒言】眼内悪性黒色腫は100万人に0.025人、米国の1/20と本邦では非常に稀な疾患であり、皮膚原発と比較して肝転移を高率にきたし、予後不良であることが知られている。その診断時には肝臓に微小転移が存在する確率は約50%と言われる。今回我々は、左脈絡膜原発で右眼窩内、肝臓、消化管転移をきたした症例を経験したので報告する。【症例】症例は68歳男性、2012年9月に人間ドックで肝腫瘤を指摘され、精査にて肝S7に径1cm大の肝血管腫と診断され、経過観察されていた。2013年5月に施行した肝ダイナミックCTでは肝後区域に約13cm大の腫瘤を認めた。食欲不振、全身倦怠感も自覚しており、精査・加療目的に当院へ紹介受診、入院となった。入院時の肝ダイナミックCTでは腫瘤は乏血性を呈しており、血管浸潤や血管内進展を認めず、腫瘍内に血管貫通像がみられたことから悪性リンパ腫が強く疑われたが、リンパ節腫大や脾腫は認めなかった。EOB-プリモビストMRIでは同病変はT1強調画像で高信号を呈しており、悪性黒色腫が疑われた。さらに肝腫瘍生検では病変は黒色を呈しており、上下部消化管内視鏡検査では胃穹窿部から体上部、十二指腸と直腸に黒色平坦隆起病変を認め、いずれの組織からもメラニン色素顆粒と腫瘍細胞の増大を認め、悪性黒色腫の診断となった。四肢、体幹部には多数の黒子がみられたが、癒合や結節などの悪性所見を認めず、原発巣とは考えられなかった。しかし左眼底に巨大な腫瘤を認め、左脈絡膜原発の悪性黒色腫、stage4と診断された。肝腫瘍は乏血性であり、肝臓の非腫瘍部にもメラニン色素顆粒がび漫性にみられたこと、さらに遠隔転移をきたしていることから肝動脈塞栓術や肝動脈化学塞栓術の治療効果は限定的であり、全身化学療法の適応と判断し、DACa-Tam療法を開始とした。【結語】眼内悪性黒色腫の肝転移は平均余命が約半年と予後不良であるが、同病変に対する治療として肝動脈塞栓術や肝動脈化学塞栓術が有効であり、5年生存している例もみられる。本症例では肝臓以外に消化管に遠隔転移しており、非常に稀な症例と考え報告した。
索引用語 悪性黒色腫, 消化管転移