セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 023:

シクロスポリンが奏効した重症自己免疫性肝炎の一例

演者 堀内 宏倫(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科)
共同演者 廣瀬  雄紀(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 三浦 由紀子(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 古橋 広人(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 關 伸嘉(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 宮崎 民浩(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 杉田 知典(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 会田 雄太(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 板垣 宗徳(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 石黒 晴哉(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 安部 宏(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 須藤 訓(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科), 相澤 良夫(東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 消化器肝臓内科)
抄録 【症例】76歳、女性【既往歴】慢性肝障害、高血圧症、脂質異常症【家族歴】特記事項なし【飲酒歴】なし【常用薬】バルサルタン、プラバスタチンNa、ウルソデオキシコール酸、プロトポルフィリン二Na【現病歴】2013年3月下旬より、尿の黄染を自覚していた。4月に入り下腿浮腫と全身倦怠感が出現し、経口摂取がほとんどできない状態となった。家族に皮膚黄染を指摘され、4月15日当科紹介受診。高度の肝障害,黄疸を認めたため、同日緊急入院となった。【入院時身体所見】身長158cm,体重66.7kg,BMI26.5,血圧104/67mmHg、脈拍111回/分。眼球結膜黄染あり。腹部は膨隆し波動あり、圧痛なし。両下腿浮腫あり。【入院時血液検査所見】WBC 6600/μl、Hb 13.6g/dL、Plt 15.8×104/μl、AST 186IU/l、ALT 187IU/l、LDH 341U/L、ChE 99、T-Bil 13.8mg/dl、D-Bil 10.9mg/dl、ALP 501U/L、γGTP 47U/L、TTT 14.8MU、ZTT 41.4KU、TP 8.6、Alb 2.6、NH3 78、UN 14mg/dl、Cr 1.09mg/dl、CRP 1.0、PT 30%、APTT 55.3秒、Fbg 73、HBsAg 陰性、HCVAb 陰性【経過】慢性肝障害に対し近医加療中であった。IgG 4848mg/dl、ANA 320倍、AMA 陰性。肝生検は,Child-Puph C (13点)と肝機能の高度低下を認めたため施行できなかったが,病理所見を除いたAIH国際診断基準16点であり、自己免疫性肝炎と診断した。第3病日よりステロイドパルス療法 mPSL 500mg/日を3日間施行、後療法PSL 40mg/日としたが、病勢の改善は乏しかったため、第9病日よりシクロスポリン内服を開始したところ、病勢の改善を認め、肝予備能も次第に改善していった。CMVの再活性化を認めたため、PSLは速やかに漸減した。再燃を認めず、全身状態改善したため、第70病日に退院となった。【考察】自己免疫性肝炎は通常ステロイド治療により奏効が期待される疾患であるが、約10%はステロイド抵抗性を示す。ステロイド抵抗例では、免疫抑制剤による寛解例が報告されている。今回、シクロスポリンが奏効し病勢の改善を認めた重症自己免疫性肝炎の一例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 自己免疫性肝炎, シクロスポリン