セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 050:

肝優位型転移性乳癌(liver dominant metastatic breast cancer)の一例

演者 月田 貴和子(高崎総合医療センター 消化器科)
共同演者 高木 均(高崎総合医療センター 消化器科), 佐藤 綾希(高崎総合医療センター 消化器科), 星野 崇(高崎総合医療センター 消化器科), 長沼 篤(高崎総合医療センター 消化器科), 小板橋 絵理(高崎総合医療センター 消化器科), 上原 早苗(高崎総合医療センター 消化器科), 小柏 剛(高崎総合医療センター 消化器科), 宮前 直美(高崎総合医療センター 消化器科), 工藤 智弘(高崎総合医療センター 消化器科), 小田原 宏樹(高崎総合医療センター 乳腺甲状腺外科), 鯉渕 幸夫(高崎総合医療センター 乳腺甲状腺外科), 小川 晃(高崎総合医療センター 病理), 井上 和人(日本赤十字社医療センター 外科), 幕内 雅敏(日本赤十字社医療センター 外科)
抄録 【症例】70歳女性。X-1年5月ごろから半年ほど腰痛が持続。近医整形外科受診し圧迫骨折と診断され鎮痛剤で加療していたが改善せず、かかりつけ医を受診。スクリーニングで施行した腹部エコーにて肝S7に56×39mm大の腫瘤影を認め、精査のためX-1年12月当院紹介受診。造影CTでは辺縁に淡い増強効果を持ち、内部に不均一な低吸収域を認めた。肝細胞癌・胆管細胞癌・転移性肝腫瘍鑑別のため肝生検目的で入院となった。生検の結果は転移性肝腫瘍・小細胞癌の疑いであった。上部・下部内視鏡では明らかな悪性病変は認めず、PET-CTでは肝後区域と右腋窩リンパ節に集積を認めたが、肺を含めたその他臓器には有意な集積を認めなかった。右腋窩に2.8×2.6cm、1.9×1.6cmのリンパ節を触知し、リンパ節生検を施行しscirrhous carcinomaの診断を得た。免疫染色ではER/PR/HER=+8/+7/0であり乳癌の疑いとなった。触診上は乳房に異常は認めなかったが、マンモグラフィで右乳房にスピキュラを伴う1.2×1.0cmの腫瘤影を認めた。同部位に対して針生検を施行し、Lobular Carcinoma疑いとなった。以上より右乳癌・乳癌肝転移T1b,N2,M1,stageIVの診断となった。レトロゾールなどの化学療法を施行したが、腋下リンパ節が増大したため、X-2年3月に乳房温存術+腋下リンパ節廓清(I)+腋下静脈切除を施行した。さらに5月に門脈右枝塞栓術と右肝+尾状葉切除術を施行した。現在エキセメスタンで加療中である。【考察および結論】今回の症例は、比較的大きな肝腫瘍で発見され、FDG-PTの結果により腋窩リンパ節転移を見いだされ、乳癌原発にたどり着いたliver dominant metastatic breast cancerの1症例である。このような肝転移を主体とする乳癌も極力切除することで予後改善が得られるか否か今後の経過を注視していく。
索引用語 転移性肝癌, 乳がん