セッション情報 ワークショップ14(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

患者にやさしい上部消化管内視鏡検査の工夫

タイトル 内W14-5:

定圧自動送気内視鏡(steady pressure automatically controlled endoscopy;SPACE)による次世代の内視鏡検査

演者 加藤 元彦(大阪大・消化器内科DELIMITERJapan SPACE Study Group)
共同演者 中島 清一(大阪大・消化器外科DELIMITERJapan SPACE Study Group), 竹原 徹郎(大阪大・消化器内科DELIMITERJapan SPACE Study Group)
抄録 【背景】内視鏡診療において良好な視野を得るためには送気が必要である。送気不足では十分な視野が得られなくなる一方、過剰送気は患者の苦痛を増すばかりでなく循環動態への悪影響も生じ得る。鏡視下手術で行われる定圧自動送気を消化管管腔内で行うことで、より安全・確実な内視鏡診療が期待され、われわれは腹腔鏡用の自動送気装置を用いた消化管管腔内での送気システム(定圧自動送気内視鏡:SPACE)を開発し、検討を重ねてきた。【目的】SPACEによる上部消化管内視鏡検査の実施可能性を明らかにすること【方法】実験1)健常ボランティア1名に対して6名の検査医が通常のマニュアル送気で内視鏡検査を行い、検査中の胃内圧を測定、比較した。実験2)生体ブタ胃内でSPACEを行い、バイタルサイン、動脈血炭酸ガス分圧、内視鏡による視野を評価した。実験3)健常ボランティア5名に対して4、8、12mmHgの各設定圧でSPACEを行い、内視鏡視野と被検者の自覚症状を4点スコアで評価した。【結果】実験1)マニュアル送気による検査中の胃内圧は検査医によるばらつきが大きかった。実験2)生体ブタではSAPCEはバイタルサインの変動や高炭酸ガス血症を認めず安全に実施可能であり、良好な内視鏡視野が得られた。実験3)健常ボラティアにおいて、12mmHgの設定圧において良好な内視鏡視野が得られた。12mmHgでは腹満、腹痛のスコアはそれぞれ4、8mmHgに比べて悪かったが、施行した全例において、5分程度の検査を安全に実施することが可能であった。【結語】SPACEによる上部消化管内視鏡検査は安全に実施可能であった。SPACEは検査医による送気のばらつきを減らし、内視鏡検査の標準化に寄与する可能性がある。
索引用語 定圧送気内視鏡, SPACE