セッション情報 | 専修医セッション(卒後3-5年) |
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タイトル | 037:大量の消化管出血をきたし急激な転帰をたどったAL型アミロイドーシスの一例 |
演者 | 好川 謙一(独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 消化器科) |
共同演者 | 根岸 道子(独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 消化器科), 島本 奈々(独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 消化器科), 筒井 佳苗(独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 消化器科), 及川 紘太郎(独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 消化器科), 中尾 裕(独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 消化器科), 吉田 幸永(独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 消化器科), 二上 敏樹(独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 消化器科), 林 博隆(独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 研究検査科), 田尻 久雄(東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科) |
抄録 | 【症例】51歳女性【主訴】下痢、血便【現病歴】1か月程度持続する下痢、血便、食事摂取不良を契機に他院を受診し、上部・下部消化管内視鏡検査にてアミロイドーシスと診断された。食事摂取不良に対して完全静脈栄養として、2か月入院の後精査加療目的に当院へ紹介された。当院初診時下痢、血便は比較的落ち着いており静脈栄養継続のうえ外来での経過観察の方針となっていた。しかし初診より1ヶ月後意識障害、呼吸苦を呈し救急要請のうえ当院に搬送となった。【来院後経過】到着時ショック状態であり、腹部は著明に膨隆し血性の便失禁を認めた。間もなく心停止し、蘇生を施行するも回復せず、死亡され病理解剖となった。腸管内には1800mLの血性成分を認め、腸管全長の高度拡張に起因すると思われる腹部膨隆、横隔膜の挙上を認めた。十二指腸から空腸壁を主体として直腸壁まで連続したアミロイド沈着を認め、AL型アミロイドーシスと診断された。アミロイドは粘膜下組織間質および血管壁、固有筋層を主体に沈着しており、粘膜下沈着部では肉眼的にドーム状隆起を認め、その一部で臍状~小噴火口状びらん・潰瘍形成を認め出血点と考えられた。アミロイド沈着は他臓器には認めず、多発性骨髄腫の所見を認めなかった。【考察】本症例はアミロイドーシスによる続発性偽性腸閉塞が原因であり、消化管からの大量出血をきたした。死因として出血性ショックと同時に血液充満による高度の腸管拡張で腹腔内圧が上昇し呼吸・循環障害を生じた可能性も考えられた。アミロイドーシスでは消化管への沈着が高頻度にあり、特にAL型アミロイドーシスでは粘膜筋板と粘膜下層、固有筋層への沈着およびそれに伴う粘膜下腫瘤様隆起が多発するとされ、本症例でもそれに矛盾しない剖検所見であった。これまでの消化管出血を伴ったアミロイドーシスの剖検症例をふまえて、文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | アミロイドーシス, 消化管出血 |