セッション情報 一般演題

タイトル 066:

多発性骨髄腫の髄外病変により閉塞性黄疸を発症した一例

演者 畑 昌宏(国立国際医療研究センター病院 消化器内科)
共同演者 小島 康志(国立国際医療研究センター病院 消化器内科), 大久保 栄高(国立国際医療研究センター病院 消化器内科), 木平 英里(国立国際医療研究センター病院 消化器内科), 城間 翔(国立国際医療研究センター病院 消化器内科), 張 萌林(国立国際医療研究センター病院 消化器内科), 久田 裕也(国立国際医療研究センター病院 消化器内科), 守安 志織(国立国際医療研究センター病院 消化器内科), 小森 寛之(国立国際医療研究センター病院 消化器内科), 渡辺 一弘(国立国際医療研究センター病院 消化器内科), 小早川 雅男(国立国際医療研究センター病院 消化器内科), 横井 千寿(国立国際医療研究センター病院 消化器内科), 櫻井 俊之(国立国際医療研究センター病院 消化器内科), 永田 尚義(国立国際医療研究センター病院 消化器内科), 野崎 雄一(国立国際医療研究センター病院 消化器内科), 三神 信太郎(国立国際医療研究センター病院 消化器内科), 秋山 純一(国立国際医療研究センター病院 消化器内科), 柳瀬 幹雄(国立国際医療研究センター病院 消化器内科)
抄録 多発性骨髄腫の髄外病変により閉塞性黄疸を発症した一例【症例】62歳女性【主訴】黄疸【既往歴】2型糖尿病,脂質異常症【現病歴】200X年に無症候性多発性骨髄腫と診断され,200X+2年に当院でVAD (vincristine, doxorubicin, prednisolone) 療法 3コースと自家末梢血幹細胞移植を施行し完全寛解を得た.しかし200X+3年に再発,他院にて化学療法(lenalidomide+ dexamethasone療法,bortezomib+ dexamethasone療法)を継続していた.200X+5年,黄疸と肝機能障害をきたし当科紹介となった.血液検査で胆道系酵素上昇と高ビリルビン血症(T-Bil 16.7 mg/dl)を認めた.【画像所見】腹部超音波検査:膵頭部に31 mm大のやや低エコー腫瘤.腫瘤より尾側の主膵管と上流の総胆管の拡張.造影CT検査:膵頭部に長径36 mm大の早期相で腫瘍濃染が乏しく,遷延性濃染を呈する腫瘤.【経過】膵癌による閉塞性黄疸と考え,内視鏡的逆行性胆管膵管造影を施行したが上部胆管へのカニュレーションが困難であった.経皮経肝胆管ドレナージ(PTCD)にて減黄後,膵腫瘍の確定診断のため経皮的膵腫瘍針生検を施行した.アミロイドと膠原線維による無構造物質とその間隙に異型の目立つ形質細胞の集簇を認め,多発性骨髄腫の髄外病変による閉塞性黄疸と診断した.アプロチニンシンチグラフィでも膵頭部にアプロチニンの集積を認めた.PTCDチューブは,8.5Fr pig tailカテーテルに側孔をあけ,クランプすることにより胆道の内瘻化をした.血液内科にて膵頭部に対する放射線療法(40 Gy)とVRD (bortezomib, lenalidomide, dexamethasone) 療法を施行したが,胆道閉塞は改善しなかった.【考察】多発性骨髄腫の髄外病変により閉塞性黄疸を発症した報告は少なく,本邦においては本例含め13症例を検索し得た.腫瘤の閉塞部位は膵頭部が最も多く,肝門部や十二指腸乳頭での閉塞症例も散見された.閉塞性黄疸の鑑別疾患として結石,膵癌・胆管癌,Lemmel症候群等が挙げられるが,今回多発性骨髄腫の髄外性病変による閉塞性黄疸という稀な病態を経験したため報告する.
索引用語 閉塞性黄疸, 多発性骨髄腫