セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 056:

甲状腺機能低下により認知症症状を呈した自己免疫性肝炎の一例

演者 青木 啓介(自治医大 さいたま医療センター 総合診療科)
共同演者 吉川 修平(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 浅野 岳晴(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 大竹 はるか(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 上原 建志(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 新藤 雄司(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 山中 健一(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 池田 正俊(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 東海 浩一(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 牛丸 信也(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 松本 吏弘(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 福西 昌徳(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 岩城 孝明(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 鷺原 規喜(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 浅部 伸一(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 宮谷 博幸(自治医大 さいたま医療センター 消化器科), 吉田 行雄(自治医大 さいたま医療センター 消化器科)
抄録 【症例】71歳 女性 【主訴】全身倦怠感 【現病歴】1993年頃より肝機能障害指摘されており、1998年当院紹介され精査を行うも原因不明。近医で点滴、ウルソなど投与されトランスアミナーゼ30程度に落ち着いたため、経過観察されていた。2012年10月に全身倦怠感およびトランスアミナーゼ300台まで上昇を認め、当院紹介受診。【既往歴】5年前に甲状腺機能低下症を指摘され、一時治療を行ったが、現在は無治療 【生活歴】飲酒:なし アレルギー:なし【内服歴】ウルソ300mg/day(近医より) 【来院時身体所見】特記すべき異常所見なし 【入院時血液検査】T-BIL 1.3 mg/dl, AST 278 IU/l, ALT 229 IU/l, ALP 548 IU/l, γ-GTP 47 IU/l, 抗核抗体 1280倍, IgG 2010 mg/dl, TSH 1.19μIU/ml, fT4 0.74ng/dl 【診断】肝生検を施行し自己免疫性肝炎にcompatibleな所見が得られ、簡易国際診断基準7点で確診となった。【治療経過】プレドニゾロン30mg/日で内服開始し、肝機能改善を認めたため漸減した。プレドニゾロン20mg/日で内服中の2013年1月、箸で皿をつかむなどの異常行動が認められた。外来受診時には歩行可能で明らかな麻痺はないが、長谷川式評価7点と認知機能障害を認めた。まず肝性脳症や脳梗塞が疑われたが、頭部MRIに異常なし。甲状腺機能の著明な低下(TSH 51.5μIU/ml, fT4 0.40ng/dl以下)を認め、甲状腺機能低下に伴う認知機能低下と考えられた。抗サイログロブリン抗体陽性より橋本病と診断され、レボチロキシン内服投与開始。徐々に認知機能の改善が得られた。【結語】本症例では、ステロイド治療により橋本病が顕在化し、認知症様症状が出現したと考えられた。ステロイド投与開始後は、甲状腺機能のモニタリングが必要と考えられた。
索引用語 甲状腺機能, ステロイド