セッション情報 | 研修医セッション(卒後2年迄) |
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タイトル | 061:自己免疫性膵炎の1再燃例 |
演者 | 荒川 智嗣(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科) |
共同演者 | 月永 真太郎(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 梶原 幹生(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 齋藤 恵介(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 松本 喜弘(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 三戸部 慈実(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 高倉 一樹(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 湯川 豊一(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 小田原 俊一(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 松平 浩(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 内山 幹(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 小井戸 薫雄(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 伊藤 善翔(東京慈恵会医科大学附属柏病院 内視鏡部), 小山 誠太(東京慈恵会医科大学附属柏病院 内視鏡部), 安達 世(東京慈恵会医科大学附属柏病院 内視鏡部), 今津 博雄(東京慈恵会医科大学附属柏病院 内視鏡部), 荒川 廣志(東京慈恵会医科大学附属柏病院 内視鏡部), 大草 敏史(東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科), 田尻 久雄(東京慈恵会医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科) |
抄録 | 【緒言】自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis; AIP)の治療として、副腎皮質ステロイドによる緩解導入療法が有用とされる。維持療法におけるステロイドの投与期間に関するコンセンサスはないが、その減量過程や中止後に再燃する症例も見られる。今回我々はステロイド治療に中止後に再燃を認めたAIP症例を経験したので報告する。【症例】60歳、男性。当院受診の約6ヶ月前に上腹部痛と皮膚黄染を主訴に近医を受診、入院となり、AIPと診断されて副腎皮質ステロイド治療を開始された。同治療により緩解が得られたが、その後維持療法が施行されることはなく、約3ヶ月間でステロイドは漸減~中止となっていた。ステロイド中止後に肝障害が出現、徐々に増悪を認めるに至ったため当院を紹介受診、入院となった。当院入院後の腹部CTでは膵体~尾部に腫大を認め、内視鏡的逆行性胆道膵管造影では下部胆管及び膵頭体移行部と膵尾部の主膵管に狭細像を認めた。Gaシンチグラフィでは唾液腺炎や後腹膜線維症などの膵外病変を示唆する明らかな所見は見られず、超音波内視鏡下吸引細胞診でも腫瘍性細胞を認めなかった。血液検査ではIgG4 215 mg/dLと高IgG4血症を認め、またAST 125 IU/L、ALT 364 IU/L、GGT 3,204 U/L、Al-P 1,483 U/L、CRP 4.1 mg/dLと胆道系優位の肝障害と炎症反応を認めたが、TBil 0.8 mg/dL、Amy 31 U/Lと黄疸や高アミラーゼ血症は見られなかった。諸検査の結果よりAIPの再燃と考え、内視鏡的逆行性胆管ドレナージ術を行うとともにprednisolone(PSL)40mgよりステロイド投与を再開、胆道系酵素上昇は速やかに改善、PSL 20mgまで減量した時点で退院となった。退院後もステロイドの維持療法を継続する予定である。【考案】現在までAIPに対するステロイド維持療法の有用性についてコンセンサスはえられていないが、いくつかの後ろ向き研究の知見から維持療法の継続によりAIPの再燃率を減少させることが可能とされその意義は大きいと考えられ、期間としては3年間がひとつの目安となる。今回、ステロイドの早期離脱後に再燃を来した示唆に富むAIP症例を経験した。 |
索引用語 | 自己免疫性膵炎, 予後 |