セッション情報 | 研修医セッション(卒後2年迄) |
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タイトル | 060:膵実質内虚血を伴った膵動静脈奇形に対し動脈塞栓術が有効であった一例 |
演者 | 市田 親正(湘南鎌倉総合病院 消化器病センター) |
共同演者 | 魚嶋 晴紀(湘南鎌倉総合病院 消化器病センター), 増田 作栄(湘南鎌倉総合病院 消化器病センター), 所 晋之助(湘南鎌倉総合病院 消化器病センター), 佐々木 亜希子(湘南鎌倉総合病院 消化器病センター), 小泉 一也(湘南鎌倉総合病院 消化器病センター), 築山 俊毅(湘南鎌倉総合病院 消化器病センター), 金原 猛(湘南鎌倉総合病院 消化器病センター), 賀古 眞(湘南鎌倉総合病院 消化器病センター) |
抄録 | 【緒言】膵動静脈奇形は比較的まれな疾患で,膵実質内出血や膵実質虚血を起し腹痛の原因となる.今回,われわれは膵実質虚血により腹痛を起した膵動静脈奇形に対し,動脈塞栓術が有効だった1例を経験したため報告する.【症例】49歳 男性.2011年4月より間欠的な心窩部痛が出現した.近医受診し,急性胃炎の診断で制酸薬処方されたが改善しなかった.同年7月に疼痛増悪したため当科紹介受診された.腹部造影CT検査は膵鉤部に30mmの低吸収域と膵頭部に膵動静脈奇形を疑う所見を認めた.膵鉤部低吸収域は腫瘍性病変も否定できず,超音波内視鏡下針生検を行った.結果,腫瘍成分を認めず,膵動静脈奇形により生じた膵実質虚血,又は膵実質内出血後の変化と考えた.入院後も薬剤投与では疼痛コントロールが困難であるため,第18病日膵動静脈奇形に対して動脈塞栓術を行なった.治療後は疼痛が緩和され,第32病日退院となった.第62病日の腹部造影CT検査では膵動静脈奇形の消失,膵頭部低吸収域は縮小,不明瞭化を示し,再度の腹痛を認めず経過している.【考察】膵動静脈奇形は近年画像診断の進歩により報告例が増加しており,キーワードを膵動静脈奇形として1972年~2012年まで医中誌で検索すると,本邦における報告は自験例を含め82例である(会議録を除く).平均年齢51歳.男性70例,女性12例.主症状は消化管出血42例,腹痛23例,門脈圧亢進症3例,無症状11例(画像検査で発見).膵動静脈奇形の部位は頭~体部38例,体~尾部20例,全膵5例.治療は無治療18例,切除52例,動脈塞栓術13例だった.膵動静脈奇形の治療は膵頭部十二指腸合併切除術を基本とするが,侵襲度の高い手術を画一的に選択せずに,動静脈奇形の発生部位,血管の流入,患者の状態を考慮した治療選択することが望ましいと考える. |
索引用語 | 膵動静脈奇形, 動脈塞栓術 |