セッション情報 一般演題

タイトル 073:

腹腔内腫瘍と鑑別が困難であった脾症の1例

演者 吉益 悠(戸田中央総合病院 消化器内科)
共同演者 青木 勇樹(戸田中央総合病院 消化器内科), 山本 健治郎(戸田中央総合病院 消化器内科), 竹内 啓人(戸田中央総合病院 消化器内科), 永谷 菜穂(戸田中央総合病院 消化器内科), 田中 麗奈(戸田中央総合病院 消化器内科), 羽山 弥毅(戸田中央総合病院 消化器内科), 山田 昌彦(戸田中央総合病院 消化器内科), 堀部 俊哉(戸田中央総合病院 消化器内科), 三室 晶弘(戸田中央総合病院 消化器外科), 高木 融(戸田中央総合病院 消化器外科), 工藤 玄恵(戸田中央総合病院 病理部), 原田 容治(戸田中央総合病院 消化器内科)
抄録 【症例】43歳男性【主訴】右側背部痛【現病歴】平成24年12月に背部痛を主訴に近医受診した。腹部単純CTにて肝臓直下で胆嚢に隣接する約3cm大の腫瘤様陰影を認めたため当院紹介受診となった。【既往歴】17歳時に交通事故による脾破裂で脾部分切除術を施行された。【血液検査】血算は基準値内、生化学検査はALP 338U/Lと軽度上昇を認めるもののその他の肝胆道系酵素の上昇は認めなかった。腫瘍マーカーはCEA 11.7ng/mLと上昇を認めた。【画像検査】腹部超音波検査では内部に高エコー域を伴う肝に比較するとやや低エコーの腫瘤で、胆嚢に接し、肝臓、腸管との連続性は認めなかった。腹部造影CTで、動脈相では不均一に造影効果を認め、平衡相では中心部に造影欠損を認めた。MRIではT1WI、T2WIともに内部は辺縁部より低信号を示していた。【内視鏡検査】上部消化管内視鏡検査では胃炎、下部内視鏡検査では炎症性ポリープのみであり、粗大病変は認めなかった。【経過】明らかな上皮性の腫瘍は疑われないものの、CEA高値であり、悪性も否定できないため平成25年3月に切除した。開腹所見は、大網内に接して存在するそれぞれ3cm大の腫瘍を2個認め、一方は胆嚢に癒着していた。大網腫瘍摘出術施行され、癒着が認められた胆嚢は、胆嚢原発あるいは胆嚢に浸潤している悪性腫瘍の可能性も否定できないため摘出となった。【病理所見】切除腫瘍は白脾髄および赤脾髄からなる脾臓組織であった。【考察】異所性脾には先天的な副脾と後天的な脾症がある。典型的には、異所性脾は正常の脾臓と同様の画像所見を示す。本症例は、エコーでは内部構造は均一には見えず、造影CTの平衡相で不均一な造影態度を認めたため、異所性脾としては典型的な画像所見ではないと考えられた。【結語】今回我々は、非典型的な画像所見を呈した脾症を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 脾症, 異所性脾