セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 009:

異所性腺組織を背景として発生した十二指腸第二部癌の一切除例

演者 木村 祐太(東京都立墨東病院 外科 )
共同演者 脊山 泰治(東京都立墨東病院 外科 ), 宮田 陽一(東京都立墨東病院 外科 ), 若松 高太郎(東京都立墨東病院 外科 ), 米永 晃子(東京都立墨東病院 外科 ), 松田 真輝(東京都立墨東病院 外科 ), 西川 武司(東京都立墨東病院 外科 ), 和田 郁雄(東京都立墨東病院 外科 ), 石橋 史明(同 消化器内科), 古本 洋平(同 消化器内科), 藤木 和彦(同 消化器内科), 蕨 雅大(同 検査部), 谷澤 徹(同 検査部), 梅北 信孝(同 検査部)
抄録 【目的】十二指腸癌は消化器癌の中では頻度が少なく、臨床病理学的特徴が明らかになっていない。特に、異所性胃粘膜由来の十二指腸癌の報告は少なく、ほとんどが球部である。今回、十二指腸第二部に多発した異所性腺組織を背景とする十二指腸癌に対し、膵頭十二指腸切除を行った一例を経験したので報告する。
【症例】62歳、男性。黒色便を主訴に当院救急搬送された。上部消化管内視鏡検査にて十二指腸下行部のVater乳頭側に周堤を有する2型病変がみられ、生検でAdenocarcinomaが検出された。十二指腸癌の診断で外科紹介となり、手術を行った。
【結果】2012年12月、膵頭十二指腸切除術を施行した。切除標本では、幽門輪直下、十二指腸球部、下行部から水平部にかけて多発ポリポーシス状となっており、その中に2cm大の2型病変がみられた。割面では、十二指腸球部から水平部にかけての粘膜下層に異所性腺組織がみられ多数の小嚢胞様構造が見られた。主病変は胃腺窩組織に類似した高分化腺癌組織であり、異所性腺組織と連続していた。また、主病変以外にも小嚢胞内に前癌病変と考えられる腺腫がみられた。最終的に、十二指腸癌、Tub 1 =pap>tub 2、T2(pMP)、pN0、Stage Iと診断した。術後25日目に退院し、7ヵ月が経過した現在も外来通院中である。
【結語】十二指腸第二部の異所性腺組織を背景に、腺腫と腺癌が併存し、十二指腸癌におけるadenoma-carcinoma sequenceを示唆するものと考えられた。
索引用語 十二指腸癌, 異所性腺組織