セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 042:

粘膜下腫瘍様の形態を示した胃癌(リンパ球浸潤胃癌)の1例

演者 鈴木 源(自治医科大学 附属さいたま医療センター 一般消化器外科)
共同演者 高田 理(自治医科大学 附属さいたま医療センター 一般消化器外科), 清崎 浩一(自治医科大学 附属さいたま医療センター 一般消化器外科), 齊藤 正昭(自治医科大学 附属さいたま医療センター 一般消化器外科), 小櫃 保(自治医科大学 附属さいたま医療センター 一般消化器外科), 野首 光弘(自治医科大学 附属さいたま医療センター 病理科), 吉田 行雄(自治医科大学 附属さいたま医療センター 消化器内科), 力山 敏樹(自治医科大学 附属さいたま医療センター 一般消化器外科)
抄録  リンパ球浸潤性胃癌GCLS)は、低分化腺癌にリンパ球浸潤を伴ったものであり、特殊型胃癌に分類されている。術前に診断し得たリンパ球浸潤胃癌(GCLS)を経験したので報告する。【症例】81歳、男性【現病歴】2010年に、上部消化管内視鏡検査で胃体下部小弯に粘膜下腫瘍を指摘。2年半後に、精査加療目的で当院紹介受診。【前医内視鏡検査】1回目の検査では、胃体下部小弯に、約20mmのなだらかな隆起性病変を確認。粘膜下腫瘍と診断。2回目(1年後)の検査では、隆起部分の形態はふたこぶ状へ変化。3回目(2年半後)に検査では、隆起部に潰瘍形成を合併。2回目・3回目の生検結果はGroup 1。【当院内視鏡検査】4回目の検査では、なだらかな隆起性病変あり、中央部に潰瘍形成あり、潰瘍辺縁まで正常上皮に覆われていた。超音波内視鏡検査は、第1~3層の肥厚あり。【生検結果】炎症細胞の高度浸潤を伴い、Lymphepithlioma(LEL)様の上皮内進展を示した。【鑑別診断】粘膜下腫瘍様の形態を示していたことより、GISTやlymphomaを考えた。【免疫染色結果】CD45染色では、高度に浸潤する炎症細胞に異型認めなかった。AE1/AE3染色で、腫大した核を有する異型上皮細胞を認め、腺腔構造形成も乏しいため、低分化腺癌と診断。リンパ球浸潤を高度に伴う低分化腺癌であり、GCLSの可能性を考え、EBER ISHを施行し陽性。非腫瘍上皮とlymphoid stromaは陰性。【術前診断】EBウイルス感染に関連したリンパ球浸潤胃癌と診断。【治療】幽門側胃切除術を実施。【考察】リンパ球浸潤胃癌(GCLS)は1-4%の発生頻度であり、種々の報告よりEBVとの関連性が判明している。一般的な低分化腺癌とは全く異なり、臨床的には良好な経過をたどることが多い。【結語】2年半にわたり経過観察されて、術前にリンパ球浸潤胃癌と診断し得た1例を報告する。
索引用語 リンパ球浸潤胃癌, EBウイルス関連胃癌