セッション情報 一般演題

タイトル 095:

薬物性肝障害と鑑別を要した自己免疫性肝炎の1例

演者 中元 明裕(獨協医科大学越谷病院消化器内科)
共同演者 國吉 徹(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 片山 裕視(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 北濱 彰博(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 草野 祐実(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 関山 達彦(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 寺内 厳織(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 豊田 紘二(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 玉野 正也(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 山岸 秀嗣(獨協医科大学越谷病院病理部)
抄録 薬物性肝障害を疑われた症例に対して、血清学的検査と病理組織学的検査より自己免疫性肝炎と診断し、プレドニゾロン投与を開始し軽快を得た症例について文献的考察を含めて報告する。【症例】70歳、女性【既往歴】陳旧性脳梗塞、狭心症【現病歴】2012年6月に脳梗塞を発症し他院で抗血小板薬による内科的治療を受け、ほぼ後遺症なく退院。予防的治療(シロスタゾール、クロピドグレル)を受けていたが同年8月頃より肝機能障害が出現した。薬物性肝障害を疑い薬剤変更を行っていたものの肝障害は改善せず、精査加療目的に2013年1月に当科を紹介受診となった。初診時の血液検査ではAST 1080 U/L、ALT 1140 U/L、T-B 5.01 mg/dl、D-B 2.80 mg/dlと肝機能障害を認め、血清学的検査ではウイルス性肝炎は否定的であり、抗核抗体320倍、ミトコンドリアM2抗体陰性、IgG 1732 mg/dlであった。肝生検による病理組織学的検査ではリンパ球浸潤と線維化を伴う門脈域の拡大とpiecemeal necrosisを呈し、少数ながら形質細胞浸潤を伴う所見であり、これらの結果より自己免疫性肝炎と診断しプレドニゾロン30mg /dayの投与を開始した。約3か月の経過で肝機能は正常化し、現在も維持療法を継続中である。【考察】本症例は、薬剤開始時期と肝障害出現時期から薬物性肝障害が強く疑われていた。薬物性肝障害を惹起する可能性はどの薬剤にも存在するが、肝障害が生じた際には自己免疫機序を含む他の病態を念頭に置き、可能であれば病理組織学的な検索を行い、適切な治療方針を立てる事が必要であると考えられた。
索引用語 自己免疫性肝炎, 薬物性肝障害