セッション情報 一般演題

タイトル 077:

アスピリン内服は,癌の早期発見につながるか?アスピリン内服中に消化管出血を認めた十二指腸潰瘍を伴った0-III型胃癌の1例

演者 金子 仁人(獨協医科大学日光医療センター 消化器内科)
共同演者 前田 光徳(獨協医科大学日光医療センター 消化器内科), 中野 正和(獨協医科大学日光医療センター 消化器内科), 宮腰 大輔(獨協医科大学日光医療センター 消化器内科), 菅原 学(獨協医科大学日光医療センター 外科), 宮地 和人(獨協医科大学日光医療センター 外科), 寺野 彰(獨協学園理事長), 平石 秀幸(獨協医科大学消化器内科)
抄録 近年,脳梗塞や狭心症などで,アスピリンや抗血小板剤,抗凝固剤を内服している患者が増加しており,それに伴って消化管出血症例も増加する傾向にある.それと同時に癌に伴う出血症例も増加しており,早期に癌が発見される症例も増えてきている.今回,このような症例を経験したので報告する. 症例は84歳男性,CABG術後,狭心症,糖尿病,認知症にてアスピリン等の内服加療されていた.黒色便,黒色嘔吐を認めたため,当院受診し,上部消化管出血の診断にて,緊急上部消化管内視鏡検査を施行した.検査の結果,幽門輪に活動期の胃潰瘍様病変,十二指腸潰瘍を認めた.その後の病理組織の結果,胃潰瘍病変よりtub2+porが検出され0-III型胃癌と診断した.CT上転移巣も認めず,待機的に幽門側胃切除術を行った.その後の術後経過は良好である. 文献的には,アスピリン使用者は,非使用者より癌の検出が有意に高いと報告されている(Brenner, Tao et al. 2010).今回のように,高齢,心疾患,認知症,アスピリンの内服等ある場合,症状がなければまず内視鏡検査を施行することがない症例にとって,出血により早期に癌が検出されたことは幸運であった.アスピリンや抗血小板剤の内服は,脳梗塞,心疾患の予防だけでなく,早期の癌の検出にも有用な可能性が示唆された.
索引用語 胃癌, アスピリン