セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 045:

多種類の菌が検出される敗血症性ショックを呈した結腸憩室炎の1例

演者 高橋 利奈(東京逓信病院 消化器科)
共同演者 大久保 政雄(東京逓信病院 消化器科), 田顔 夫佑樹(東京逓信病院 消化器科), 水谷 浩哉(東京逓信病院 消化器科), 小林 克也(東京逓信病院 消化器科), 関川 憲一郎(東京逓信病院 消化器科), 光井 洋(東京逓信病院 消化器科), 橋本 直明(東京逓信病院 消化器科), 鈴木 丈夫(東京逓信病院 放射線科), 五十嵐 和江(東京逓信病院 臨床検査科), 中井 達郎(東京逓信病院 臨床検査科)
抄録 【症例】51歳男性【主訴】右下腹部痛、発熱、意識消失【現病歴】2013年4月頃より時折右下腹部痛を自覚していた。6月初旬に強い右下腹部痛・悪寒が出現し、翌朝に意識消失をきたし、当院に救急搬送された。来院時意識は回復していたが、38.2度の発熱があり、腹部単純CTで上行結腸憩室炎が疑われたため、同日当科に入院となった。【経過】来院時、炎症所見の上昇なく血圧も保たれていたが、菌血症の存在が疑われ、血液培養施行後に抗生剤(SBT/CPZ)を開始した。しかし、3時間後に急激な血圧低下をきたし、白血球の著明な上昇(31400/μl)、DICスコア5点、腎機能増悪(Cr 1.54 mg/dl)を認め敗血症性ショックと診断した。腹部造影CTを追加施行したが、消化管穿孔、膿瘍、イレウスなどの所見はなかった。抗生剤をMEPMに変更し、免疫グロブリン製剤とLVFX内服を追加。さらにDICに対しトロンボモジュリン投与を開始した。第2病日に血液培養でグラム陽性球・桿菌、グラム陰性桿菌の3系統が陽性と判明。歯科受診、心エコー施行したが明らかな感染巣はなかった。第3病日にはDICの著明な改善、第5病日には解熱し、右下腹部痛も改善した。同日血液培養の結果が判明し6種類の菌(ESBL産生大腸菌、Fusobacterium spp.、Bacteroides vulgatus、Peptostreotococcus anaeriobius、Prevotella oris、Clostridium difficile)が検出された。抗生剤は、第10病日からLVFX内服は継続のもとCMZへdeescalationした。糖尿病、大酒歴、HIV感染などの免疫低下疾患も存在せず、下部消化管内視鏡検査でも憩室炎以外に明らかな感染巣を認めなかった。抗生剤終了後も経過良好で、第20病日退院となった。【考察】本例は穿孔、膿瘍が存在せずに憩室炎から敗血症にまで重症化した大変稀な症例である。憩室炎以外の感染巣や免疫不全状態がなく重症化した理由としては、軽症の憩室炎を放置したために局所の腸管粘膜の障害からbacterial translocationに至ったことが考えられる。結腸憩室炎は通常は良好な経過をたどる疾患だが、本症例のように重症化する場合もあることは記銘すべきである。
索引用語 結腸憩室炎, 敗血症