セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 031:

保存的加療で軽快した胆石イレウスの1例

演者 宮坂 俊光(日本医科大学多摩永山病院 外科)
共同演者 吉田 寛(日本医科大学多摩永山病院 外科), 牧野 浩司(日本医科大学多摩永山病院 外科), 丸山 弘(日本医科大学多摩永山病院 外科), 横山 正(日本医科大学多摩永山病院 外科), 平方 敦史(日本医科大学多摩永山病院 外科), 内田 英一(内田病院), 渡辺 学(内田病院), 内田 英二(日本医科大学付属病院消化器外科)
抄録 今回われわれは,保存的加療にて改善の得られた胆石イレウスの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。【症例】80歳、女性【主訴】腹痛、嘔吐【既往歴】28歳 卵巣嚢腫(手術あり)、77歳 左大腿骨頸部骨折、高血圧、糖尿病【現病歴】以前より胆石胆嚢炎を指摘されていたが、手術拒否にて経過観察となっていた。突然、腹痛、嘔吐が出現し、入院となった。【入院時現症】体温 37.8度、血圧 118/72、脈拍 80回/分、腹部:膨満、全体に圧痛あり、腹膜刺激症状なし、眼球結膜黄染なし、眼瞼結膜貧血なし【入院時検査所見】WBC 8090/ uL、CRP 21.6mg/dL、BUN 44.6mg/dL、Cr 1.6mg/dL、BS 206mg/dLであった。【入院時画像所見】小腸は拡張しイレウス像を呈していた。下腹部腸管内に前回検査時胆嚢内に認めた石灰化と同一の石灰化を認め、その口側腸管の拡張を認めた。一方、胆嚢内の石灰化は消失していた。【入院後経過】胆石イレウスと診断し、禁食、抗菌薬投与による保存的加療を開始。入院翌日施行したCTでは、腸管内の石灰化は移動、入院後5日目に施行したCTで、石灰化は消失した。また胆管気腫像が出現した。症状も改善傾向にあるため、水分摂取開始。入院後7日目には食事再開とし、その後も経過良好のため入院後14日目退院となった。【考察】胆石イレウスの発生頻度は全イレウスの0.05~1.5%,胆石症の0.15~1.5%と報告されており、比較的まれな疾患である。治療法としては、多くが外科的治療を要するとされるが、本症例は保存的加療にて自然排石、イレウス改善を得ることができた。胆石イレウスの治療法は、患者背景や臨床経過を検討し治療の選択する必要があると考えられた。
索引用語 胆石イレウス, 保存的加療