セッション情報 | 専修医セッション(卒後3-5年) |
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タイトル | 025:3剤併用によるインターフェロン治療が奏功したC型慢性肝炎の肝外病変(紫斑病)の一例 |
演者 | 川上 智寛(順天堂大学医学部附属浦安病院 消化器内科) |
共同演者 | 北村 庸雄(順天堂大学医学部附属浦安病院 消化器内科), 岩本 志穗(順天堂大学医学部附属浦安病院 消化器内科), 岡村 庸介(順天堂大学医学部附属浦安病院 消化器内科), 北沢 尚子(順天堂大学医学部附属浦安病院 消化器内科), 竹村 勇治(順天堂大学医学部附属浦安病院 消化器内科), 荻原 伸悟(順天堂大学医学部附属浦安病院 消化器内科), 金澤 亮(順天堂大学医学部附属浦安病院 消化器内科), 鈴木 真由(順天堂大学医学部附属浦安病院 消化器内科), 山中 晃一郎(順天堂大学医学部附属浦安病院 消化器内科), 須山 正文(順天堂大学医学部附属浦安病院 消化器内科) |
抄録 | C型慢性肝炎の治療は3剤併用療法(ペグインターフェロン+リバビリン+テラプレビル)の出現により高い治癒率が得られるようになったが、テラプレビルによる皮膚症状や腎機能障害等の重篤な副作用が問題となっている。今回、C型慢性肝炎の肝外病変と考えられる紫斑病が3剤併用療法により改善した症例を経験したので報告する。【症例】56歳男性。両上下肢、体幹部中心に紫斑が出現し、皮膚科を受診。皮膚生検でアレルギー性紫斑病と診断され、ステロイドの外用・内服で加療していたが改善はみられなかった。一方、本症例はC型慢性肝炎(genotype1b、高ウイルス量)でもあり、テラプレビルの副作用による皮膚症状を考えると内科的には3剤併用療法は躊躇されたが、皮膚科で紫斑はC型慢性肝炎の肝外病変と診断され、むしろ紫斑に対する積極的な抗ウイルス療法を勧められた。3剤併用療法の導入後ウイルス量は速やかに低下し、最終的にSVRが得られた。紫斑に関しては、抗ウイルス治療の約4週間後には完全に消失し、ステロイドの内服を離脱することが可能となった。【考察】C型慢性肝炎の肝外病変として混合型クリオグロブリン血症の紫斑病が挙げられる。文献によると混合型クリオグロブリン血症はHCVキャリアの約半数でみられるとされており、紫斑を含め血管炎症状を呈するものは2-3%であると報告されている。HCV関連のクリオグロブリン血症の治療指針では、症状に対する対症療法でなくHCV自体への抗ウイルス治療が必要であるとされている。本症例はC型慢性肝炎の治療によりSVRが得られたことで紫斑病に対しても良好な結果が得られた。抗ウイルス治療前にクリオグロブリンの測定がされていないため紫斑とクリオグロブリンの関連は明確ではないが、抗ウイルス治療で紫斑が改善したことからクリオグロブリンに関連した紫斑病の可能性が考えられた。【結語】C型慢性肝炎に伴う皮膚症状に対しては、肝外病変の可能性も考慮した検討が必要と考えられた。 |
索引用語 | C型慢性肝炎, 紫斑病 |