セッション情報 一般演題

タイトル 076:

腹腔内巨大腫瘍を呈した胃絨毛癌の一例

演者 菅谷 明徳(筑波大学附属病院DELIMITER茨城県立中央病院)
共同演者 金子 剛(筑波大学附属病院), 浜野 由花子(筑波大学附属病院), 今西 真実子(筑波大学附属病院DELIMITER茨城県立中央病院), 小林 真理子(筑波大学附属病院DELIMITER筑波記念病院), 小林 克誠(筑波大学附属病院DELIMITER都立墨東病院), 圷 大輔(筑波大学附属病院), 越智 大介(筑波大学附属病院DELIMITER筑波記念病院), 石毛 和紀(筑波大学附属病院), 森脇 俊和(筑波大学附属病院), 奈良坂 俊明(筑波大学附属病院), 遠藤 慎治(筑波大学附属病院), 鈴木 英雄(筑波大学附属病院), 福田 邦明(筑波大学附属病院), 松井 裕史(筑波大学附属病院), 安部井 誠人(筑波大学附属病院), 溝上 裕士(筑波大学附属病院), 兵頭 一之介(筑波大学附属病院)
抄録 【症例】患者は50代男性。X年6月X-7日頃より腹痛、食欲低下あり、X-4日、前医受診、造影CT、上下部消化管内視鏡より胃がん、上腹部に中央が壊死している20cmの巨大腫瘤を指摘され、X日当科入院した。PS 2、胃がん原発巣から腹腔内へ穿孔している所見があり、絶食、高カロリー輸液、抗生剤を開始した。胃生検の結果は、腺癌(多彩な分化度、HER2 score 3+)であり、進行胃癌(T4N1M1, stageIV)と診断した。CTでは、腹水、腹膜播種、多発肝転移、肺転移、頚部~腹部リンパ節転移を認めた。PS 3への低下があったが、本人の治療希望により、X+10日より化学療法5FU/l-LV(RPMI)を開始した。X+22日、急激な貧血(Hb 4.3g/dl)が認められ、X+24日より吐血を認め、原発巣からの出血と思われた。全身状態はPS 4であり、輸血など保存的加療の方針とし、BSCの方針となった。化学療法の効果は乏しいと考えられ、腹水穿刺、ステロイド投与などの緩和医療を継続し、X+27日死亡を確認した。剖検の結果、巨大な腹腔内腫瘍(23X18X8cm)が胃から連続しており、胃体下部大弯に穿孔が認められ、腫瘍の内腔と交通していた。巨大な腹腔内腫瘍は合胞体栄養膜細胞様と細胞性栄養粘膜細胞様の腫瘍細胞の2相性が認められ免疫組織化学的にもHCGβ陽性で、絨毛癌と考えられた。胃粘膜側には胃腺癌成分を有し、連続性があった。また、細菌性腹膜炎を併発していた。
【考察】胃絨毛癌は胃がんの中で比較的まれ(0.1%以下)で、予後がきわめて不良であることが知られている。本症例では、生前には絨毛癌の診断はかなわず、剖検で判明した。本症例のような壁外進展も少数報告があるが、本例のように20cmを超える報告は乏しい。さらに、生前あるいは術前の診断、臨床的特徴を若干の文献的考察を加えて報告する。
【結語】腹腔内巨大腫瘍を呈した稀な胃絨毛癌の一例を経験した。
索引用語 胃絨毛癌, 腹腔内巨大腫瘍