セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 032:

当院における総胆管結石に対する内視鏡的乳頭大口径バルーン拡張術の治療成績

演者 若松 徹(キッコーマン総合病院 内科)
共同演者 三上 繁(キッコーマン総合病院 内科), 大西 和彦(キッコーマン総合病院 内科), 清水 史郎(キッコーマン総合病院 内科), 秋本 政秀(キッコーマン総合病院 内科)
抄録 【目的】2012年5月より保険適用となった大口径バルーンによる乳頭拡張術の有用性を明らかにするため当院における治療成績について検討した。【対象・方法】総胆管結石治療目的に内視鏡的乳頭大口径バルーン拡張術(EPLBD)を施行した10例を対象とした。対象の年齢は75.2±17.1歳、中央値78歳(40~96歳)。性別は男4例、女6例。胆石の最大径は18.4±6.8mm、中央値16.3mm(11~31mm)。胆石の個数は1個が2例、複数個が8例(2~9個)。胆管径は14.5±4.8mm、中央値13.6mm(6.5~22mm)。傍乳頭憩室を有する症例が6例(60%)であった。治療方法は、乳頭小切開後に12~15mm径のバルーンを用いて3~4気圧にてノッチがほぼ消えるまで拡張。バルーンの拡張に関しては、位置や拡張の程度が判断しやすいように造影剤と生理食塩水の混合液を用いた。【治療成績】全例で完全切石可能であった。大きな結石や個数が多い例が対象となるため、1回のERCPで完全切石に成功したのは3例のみで、他の7例では留置したENBDチューブよりの後日の造影にてわずかな残石が認められ2回目のERCPで完全切石となった。ただ2回目のERCPはバスケットによる切石のみで短時間で終了可能であった。治療翌日に血清アミラーゼ値が前値の2倍かつ300 U/L以上に上昇した症例は4例(40%)であったが、膵炎を発症したのは1例のみで、この症例も保存的に改善した。【結論】EPLBDによる総胆管結石治療は、従来の方法では破砕を必要とするなど切石の手技が煩雑になる大結石や多数の結石が存在する症例において効率のよい切石が可能となり、有用な治療法であると考えられた。
索引用語 内視鏡的乳頭大口径バルーン拡張術, 総胆管結石