セッション情報 一般演題

タイトル 083:

カプセル内視鏡検査にて小腸腫瘍を同定し得た1症例

演者 河村 晴信(小田原市立病院 消化器内科)
共同演者 酒井 英嗣(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 遠藤 宏樹(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 吉澤 繁(小田原市立病院 消化器内科), 池内 哲(小田原市立病院 消化器内科), 中島 淳(横浜市立大学附属病院 消化器内科)
抄録 【背景】カプセル内視鏡(CE)の普及に伴って一般病院においても小腸病変の検索が可能となってきた.我々の施設でも2011年10月のCE導入に伴い,現在までの39例にCEを施行してきた.小腸腫瘍は頻度が低いが,早期に発見するのは困難であり,予後の悪い癌のひとつである.今回,原因不明消化管出血(OGIB)に対してCEを施行したことで発見し得た小腸腫瘍の1例を経験したため,教訓を交え報告する.【症例】83歳男性.黒色便と急激な貧血の進行(Hb 6.8g/dl)を認めたため,消化管出血の診断で上下部内視鏡検査を施行したが,出血源を同定できなかった.腹部CTにおいても消化管に明らかな異常所見は指摘できず,OGIBの診断でCEの施行をお願いしたところ同意が得られなかったが繰り返し説得を行い,CEを施行したところ,中部小腸に周堤を伴った不整形の潰瘍性病変を認め,小腸腫瘍が疑われた.カプセルの滞留はなく,通過はスムーズであった.強くバルーン内視鏡(BAE)による精査を進めたが拒否されたため退院し,外来にて厳重なフォローアップを行っている.【考察】CEを積極的に施行することで,本症例のように以前なら見落とされていた小腸病変が見つかる頻度が高まっている.一方でOGIBの精査ではすでに上部下部消化管検査をしており、度重なる検査から患者の追加検査への受容状況が極めて低く,さらにCEはコストが高く,本来適応がある症例でも自己負担額の高さから検査が見送られることがある.したがって,今後どのような症例に積極的にCEを施行すべきか厳選する必要があると考えられた. 【結論】今回OGIBに対しCEを施行することで,CTでは同定できない小腸腫瘍を発見し得た.小腸病変の早期発見のため,CEを医療経済面や検査受容性を加味して検査の必要度を設定することが課題であると考えられた.
索引用語 カプセル内視鏡, 小腸腫瘍