セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 021:

Mekel憩室と肝細胞癌を同時切除した一例

演者 村杉 瞬(東京女子医科大学病院 消化器病センター)
共同演者 大森 鉄平(東京女子医科大学病院 消化器病センター), 奥野 奈央(東京女子医科大学病院 消化器病センター), 門前 正憲(東京女子医科大学病院 消化器病センター), 児玉 和久(東京女子医科大学病院 消化器病センター), 戸張 真紀(東京女子医科大学病院 消化器病センター), 小木曽 智美(東京女子医科大学病院 消化器病センター), 岸野 真衣子(東京女子医科大学病院 消化器病センター), 鳥居 信之(東京女子医科大学病院 消化器病センター), 谷合 麻紀子(東京女子医科大学病院 消化器病センター), 徳重 克年(東京女子医科大学病院 消化器病センター), 橋本 悦子(東京女子医科大学病院 消化器病センター), 白鳥 敬子(東京女子医科大学病院 消化器病センター)
抄録 症例は68歳、男性。アルコール性肝障害で当院通院中であった。以前より年1回程度の下血を認め、憩室出血・痔出血などを疑われ経過観察されていたが、明らかな出血源は同定できていなかった。2013年にスクリーニング目的で施行した腹部超音波で肝S8領域に50mm大の側方陰影を伴う腫瘤影を認めた。CTでは肝S8領域に動脈相で不均一に造影され、平衡相でのwash outが不明瞭な45mm大の占拠性病変を認めた。MRIでも同部位に45mm大の中心部にT2 high、T1 lowの脂肪を含有する所見があり、辺縁には被膜様の構造物を認め、EOB-プリモビスト造影パターンは、早期より造影されるがwash outは認めなかった。以上の所見より、限局性結節性過形成または肝細胞癌を疑い、精査目的に当科入院となった。入院時現症は、身長170.5 cm、体重 64.7 kg、意識清明、腹部に異常所見は認めなかった。入院時検査所見は、AST 21 U/l、ALT 23 U/l、ALP 247 U/l、γ-GTP 38 U/l、Alb 4.3 g/dl、白血球数 5320 /mm 2、Hb 13.8 g/dl、血小板数 19.2万 /mm 2、プロトロンビン時間 88.6 %、HCV抗体、HBs抗原、HBc抗体全て陰性、CA19-9 324 U/ml、CEA 1.4 ng/ml、AFP 3 ng/ml、PIVKA2 15 mAU/mlであった。入院後に腹部ソナゾイド造影超音波を施行、動脈相で明瞭に染影され、1分以降にwash outされ、肝細胞癌と診断された。また入院中に貧血を伴う下血を繰り返し認め、Hb 9 g/dl程度と低下したため、精査を行った。上部消化管内視鏡、大腸鏡、経肛門的ダブルバルーン小腸内視鏡、カプセル内視鏡を施行した結果、Bauhin弁より70~80cm付近の小腸に分岐する腸管構造を認め、Meckel憩室と診断した。以前より繰り返し認めた下血の出血源として同部位が疑われた。入院第53病日に、肝前区域切除を施行、同時にMeckel憩室の切除を施行した。切除肝には中分化索状の肝細胞癌を認めた。術後は経過良好で、貧血の進行はなく経過している。今回Mekel憩室と肝細胞癌を同時切除した一例を経験し、示唆に富む症例であり、報告する。
索引用語 Mekel憩室, 肝細胞癌