セッション情報 一般演題

タイトル 086:

潰瘍性大腸炎と診断されステロイド治療中に肝膿瘍、下大静脈血栓を合併したアメーバ性腸炎の1例

演者 藤田 徹朗(埼玉医科大学)
共同演者 可児 和仁(埼玉医科大学), 加藤 真吾(埼玉医科大学), 荒井 亮士(埼玉医科大学), 大塚 武史(埼玉医科大学), 細見 英里子(埼玉医科大学), 山口 菜緒美(埼玉医科大学), 高橋 正朋(埼玉医科大学), 小林 泰輔(埼玉医科大学), 林 健次郎(埼玉医科大学), 知念 克哉(埼玉医科大学), 長船 靖代(埼玉医科大学), 宮城 直也(埼玉医科大学), 石田 周幸(埼玉医科大学), 山本 龍一(埼玉医科大学), 大野 志乃(埼玉医科大学), 櫻田 智也(埼玉医科大学), 名越 澄子(埼玉医科大学), 屋嘉比 康治(埼玉医科大学)
抄録 【症例】38歳男性【主訴】発熱、腹痛、下痢、血便【現病歴】2013年1月下痢血便を認め、前医受診し2月下部内視鏡にて潰瘍性大腸炎と診断された。治療としてサラゾピリンとペンタサ注腸を開始した。症状改善せず3月4日プレドニン30mg内服開始、18日改善なくペンタサ4g内服に変更しプレドニン40mgに増量した。4月には血便減少し5月13日プレドニン30mgへ減量した。20日発熱とCRP26mg/dlであり前医入院となった。CTにて肝膿瘍を認めたため22日当院転院となった。【入院時所見】体温39度、右季肋部痛、下痢血便15回【経過】入院後、潰瘍性大腸炎と診断されていたのでプレドニンは30mg継続した。経皮経肝膿瘍ドレナージを施行しアンチョビ様の排液を認めたが、直接鏡検法でアメーバは検出されなかった。プロカルシトニン6.6ng/mlと高値であり、細菌感染を疑い抗生剤メロペネム2g/日投与開始した。5月27日CTにて肝膿瘍により圧迫された下大静脈内に血栓を認めた。肺動脈塞栓には至っていなかったが、ヘパリン投与開始となった。28日大腸内視鏡にて直腸に、たこ疣状のびらんを認めアメーバ性大腸炎を疑い、便の直接鏡検法にて確定診断した。また、肝膿瘍ドレナージ排液を再検査したところアメーバが検出された。メトロニダゾール開始後、症状は速やかに改善した。プレドニンを漸減し、肝膿瘍はドレナージを続けた。6月11日CTで下大静脈血栓は消失し、15日ドレーンを抜去し21日退院となった。【考察】入院時、潰瘍性大腸炎に合併した細菌性肝膿瘍と考え治療を開始したが、内視鏡にてアメーバ性腸炎と診断して治療した。ストロイド投与により肝膿瘍の増悪と血栓形成を起こしたと考えられた。ステロイド投与によりアメーバ性大腸炎、肝膿瘍が悪化し下大静脈血栓を合併した症例を経験したので、文献的考察を加え報告する。
索引用語 アメーバ性大腸炎, 肝膿瘍