セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 022:

限局性結節性過形成様の画像所見を呈し自然壊死を来したと考えられた肝細胞癌の一例

演者 高田 ひとみ(武蔵野赤十字病院 消化器科)
共同演者 金子 俊(武蔵野赤十字病院 消化器科), 安井 豊(武蔵野赤十字病院 消化器科), 中西 裕之(武蔵野赤十字病院 消化器科), 松田 秀哉(武蔵野赤十字病院 消化器科), 村岡 優(武蔵野赤十字病院 消化器科), 玉城 信治(武蔵野赤十字病院 消化器科), 鈴木 祥子(武蔵野赤十字病院 消化器科), 細川 貴範(武蔵野赤十字病院 消化器科), 上田 研(武蔵野赤十字病院 消化器科), 土谷 薫(武蔵野赤十字病院 消化器科), 板倉 潤(武蔵野赤十字病院 消化器科), 高橋 有香(武蔵野赤十字病院 消化器科), 黒崎 雅之(武蔵野赤十字病院 消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院 消化器科), 伴 大輔(東京医科歯科大学附属病院 外科), 田邉 稔(東京医科歯科大学附属病院 外科), 松永 光太郎(武蔵野赤十字病院 病理部), 瀧 和博(武蔵野赤十字病院 病理部), 江石 義信(東京医科歯科大学附属病院 病理部)
抄録 症例は45歳男性、人間ドックの腹部超音波検査で肝S3に15mm大の低エコー病変を認め受診した。既往歴は特記事項なくHBs抗原、HCV抗体は陰性であった。結節は造影CTでは動脈相でやや不均一に濃染し、平衡相で低吸収を呈し中心部に一部高吸収な領域を伴った。Gd-EOB-DTPA肝細胞相では高信号を呈し中心部に小低信号域を伴った。Sonazoid造影超音波検査では腫瘍中心から辺縁に向かって造影される腫瘍であり、後血管相では等信号として描出された。上記の画像所見から鑑別疾患として中心瘢痕を有する限局性結節性過形成を第一に考え、肝細胞癌も否定できない所見と考えたため肝腫瘍生検を施行した。腫瘍生検では中心部は中分化型、辺縁部は高分化型の肝細胞癌であり、背景肝との間に被膜を有さなかった。腫瘍生検後に施行した造影CTでは早期濃染の消失を認めていた。肝予備能はLiver Damage Aと保たれていたため腫瘍生検の約1カ月後に腹腔鏡下肝S3亜区域切除による根治術が施行された。切除標本では結節の中心部に凝固壊死・辺縁に線維性の肉芽組織を認め、viableな癌細胞は認めず、生検による二次性変化や自然壊死などが示唆される病理所見であった。中心瘢痕を伴い境界不明瞭となる肝細胞癌は、Scallop型肝細胞癌として提唱されている。肝細胞癌切除例の3%に認められ、非硬変肝に合併することや腫瘍マーカー上昇が見られないこと、他の肝細胞癌と比較して予後が良いことが知られている。本症例は画像所見および腫瘍生検所見から、Scallop型肝細胞癌が疑われ肝切除が施行されたが、切除時点では腫瘍壊死を来していた稀な経過をたどった一例と考えられた。肝細胞癌の自然壊死やScallop型肝細胞癌に関する文献的考察を含め報告する。
索引用語 Scallop型肝細胞癌, 自然壊死