セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 089:原発性硬化性胆管炎関連大腸炎の経過中に急速に進行した大腸癌の一例 |
演者 | 清野 隆史(慶應義塾大学 医学部 消化器内科) |
共同演者 | 松岡 克善(慶應義塾大学 医学部 消化器内科), 海老沼 浩利(慶應義塾大学 医学部 消化器内科), 長沼 誠(慶應義塾大学 医学部 消化器内科), 日比 紀文(北里大学北里研究所病院 IBDセンター), 金井 隆典(慶應義塾大学 医学部 消化器内科), 下田 将之(慶應義塾大学病院 病理診断部), 岡林 剛史(慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科), 長谷川 博俊(慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科), 北川 雄光(慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科) |
抄録 | 【症例】45歳女性。【現病歴】2008年の健康診断で初めてγ-GTP高値と便潜血反応陽性を指摘された。前医にて腹部超音波検査/CT、ERCP、大腸内視鏡が施行され、原発性硬化性胆管炎 (PSC)および大腸炎の合併と診断された。2009年に当科紹介受診となり、スルファサラゾピリンが開始されたが、薬疹のため中止となった。その後は、ウルソデオキシコール酸 600mg/日のみで加療されていた。2012年4月の大腸内視鏡検査では、大腸炎はほぼ寛解していたが、同年6月よりCEA、CA19-9が上昇傾向となった。12月のPET-CTで横行結腸左側にFDG高集積を認め、2013年1月に大腸内視鏡を施行したところ、脾弯曲部に高度狭窄を認め、スコープは通過不能であった。狭窄部の生検病理組織検査では炎症性変化のみで、悪性所見は認めなかった。精査加療目的で入院となった。【入院後経過】入院時の血液検査ではCEA 8.2ng/ml、CA19-9 178U/mlと高値を示し、注腸造影では脾弯曲部にapple core様の高度狭窄を3cmほど認めた。CT、MRIでは有意なリンパ節腫大はなく、狭窄部に一致して大腸壁肥厚が認められるのみであった。治療方針として、大腸全摘もしくは結腸部分切除にするのか、非常に苦慮したが、狭窄部の良悪性の鑑別がついていないこと、狭窄部より口側および直腸の炎症所見は乏しいことなどから、結腸部分切除を選択した。切除標本の病理組織検査で、adenocarcinoma (tub1, tub2, muc)が検出され、深達度はss以深であり、リンパ節転移も認め、大腸癌 T3N2aM0 Stage IIIb と診断した。更に、狭窄部より肛門側にも0-IIc病変を認め、同部位にもadenocarcinoma (tub1)を認めた。その他にも、dysplasiaが散在していた。術後化学療法(XELOX)を施行後、大腸内視鏡を再検し、大腸全摘術について検討している。【結語】PSC関連大腸炎に合併し、急速に進行した大腸癌の一例を経験した。欧米ではPSCの合併は大腸癌の危険因子として知られているが、本邦ではPSC関連大腸炎からの発癌例の報告は極めて少なく、その臨床経過も含め貴重な症例と考え、報告する。 |
索引用語 | PSC関連大腸炎, 大腸癌 |