セッション情報 一般演題

タイトル 080:

繰り返す十二指腸潰瘍によって発生した総胆管十二指腸瘻の一例

演者 江塚 明子(横浜労災病院 消化器病センター)
共同演者 佐藤 晋二(横浜労災病院 消化器病センター), 廣谷 あかね(横浜労災病院 消化器病センター), 池田 良輔(横浜労災病院 消化器病センター), 梅村 隆輔(横浜労災病院 消化器病センター), 小宮 靖彦(横浜労災病院 消化器病センター), 稲生 優海(横浜労災病院 消化器病センター), 河島 圭吾(横浜労災病院 消化器病センター), 金沢 憲由(横浜労災病院 消化器病センター), 高野 幸司(横浜労災病院 消化器病センター), 大谷 節哉(横浜労災病院 消化器病センター), 川名 憲一(横浜労災病院 消化器病センター), 酒井 英嗣(横浜市立大学付属病院 消化器内科), 中島 淳(横浜市立大学付属病院 消化器内科), 永瀬 肇(横浜労災病院 消化器病センター)
抄録 【症例】46歳、男性。【主訴】左季肋部痛【現病歴】以前十二指腸潰瘍に対して内服加療されていた患者。加療後数年間は症状なく経過していたが、夕食後深夜より発汗を伴う左季肋部痛が出現した。一旦症状改善するもその後疼痛が再燃したため翌日当院救急搬送となった。CT検査にて十二指腸から空腸にかけての壁の浮腫性変化と、胆嚢及び胆管内に気腫像を認めたため精査加療目的に入院となった。【経過】入院時、ALT42、γGTP100と肝胆道系酵素は軽度上昇していたが黄疸はなく、また炎症反応の上昇は認めず胆管炎や腸炎などは否定的であった。上部消化管内視鏡検査にて十二指腸球部に潰瘍、球部から上十二指腸角にかけては高度の十二指腸炎と潰瘍瘢痕を認めた。Vater乳頭の形態異常はなく胆管気腫の誘因となるような所見は認められなかった。ERCP検査を施行したところ、Vater乳頭の口側に瘻孔を認め同部位から胆管が造影された。胆石は認めず、腸管安静・PPI投与により腹部症状は改善したため外科的処置は行わず退院となった。【考察】総胆管十二指腸瘻は比較的稀な疾患で内胆汁瘻の7~17%を占める。原因としては胆嚢内結石が90%、十二指腸潰瘍が5~6%、その他悪性腫瘍や寄生虫などによるものもあるとされている。本症例は胆嚢内結石の既往はなかった。今回十二指腸潰瘍による総胆管十二指腸瘻の一例を経験したため若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 総胆管十二指腸瘻, 十二指腸潰瘍