セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 044:

小腸出血に対する当院における治療戦略

演者 北島 明日香(自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科)
共同演者 福井 太郎(自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科), 佐々木 純一(自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科), 長谷川 芙美(自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科), 堀江 久永(自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科), 力山 敏樹(自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科)
抄録 ある小腸出血症例の経験をもとに他科と合同で治療アルゴリズムを作成した結果,後の同様の症例に対し迅速な治療対応が可能となった事例を報告する.【症例1】大量下血で救急搬送となった66歳男性.抗血小板剤2剤,ワルファリンを内服中.造影CTで回腸内に造影剤漏出を認め回腸出血の診断.抗血小板・凝固薬内服による手術リスクおよびバイタルサインが安定していたことを考慮し,消化器科での小腸ダブルバルーン内視鏡(以下,DBE)による止血が検討されたものの,出血に伴う視野確保困難が予想されたため,IVR治療が選択された.造影剤の血管外漏出を認めた回腸動脈領域をカテーテルの挿入できた辺縁動脈中枢側からNブチルシアノアクリル酸で塞栓し、止血を得た.塞栓後,一時的に採血上の炎症所見および腹痛の出現を認め塞栓領域の腸管切除の必要性が考えられたが,いずれもその後軽快したため,経過観察した.塞栓8日後のDBEでは、遠位回腸の強い屈曲のため塞栓領域の観察はできなかった.その後,発熱を伴う腹痛出現し,造影CTで塞栓領域の小腸壊死が疑われたため緊急手術施行し穿孔を伴う15cm長壊死腸管を切除した.術後経過は問題なく術後10日目に退院.この症例の経験をもとに複数科合同で小腸出血に対する治療アルゴリズムを作成し,IVRにより原因血管の塞栓による止血術を施行した症例に対しては原則数日以内に塞栓領域の腸管切除手術を行う方針とした.【症例2】下血で搬送された抗血小板薬内服中の84歳男性.造影CTで回腸出血の診断となり,DBEによる止血を試みるも観察不良によりIVRによる塞栓術施行し止血を得た.塞栓3日後に手術施行し,塞栓領域の腸管色調不良を確認し同部の切除を行った.術後経過に問題はなく、術後18日目に退院した.
索引用語 小腸出血, 治療アルゴリズム