セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | 067:術前膵管ステントにより安全に施行しえたVon Hippel-Lindau病に伴うPancreatic neuroendocrine tumorの1核出術例 |
演者 | 関澤 健太郎(横浜市立大学 消化器腫瘍外科学) |
共同演者 | 谷口 浩一(横浜市立大学 消化器腫瘍外科学), 森 隆太郎(横浜市立大学 消化器腫瘍外科学), 熊本 宜文(横浜市立大学 消化器腫瘍外科学), 野尻 和典(横浜市立大学 消化器腫瘍外科学), 松山 隆生(横浜市立大学 消化器腫瘍外科学), 武田 和永(横浜市立大学 消化器腫瘍外科学), 秋山 浩利(横浜市立大学 消化器腫瘍外科学), 田中 邦哉(横浜市立大学 消化器腫瘍外科学), 矢尾 正祐(横浜市立大学 泌尿器科学), 遠藤 格(横浜市立大学 消化器腫瘍外科学) |
抄録 | 【はじめに】Von Hippel-Lindau(VHL)病は複数の臓器に腫瘍性あるいは嚢胞性病変が多発する常染色体優性遺伝性の疾患である。VHL病におけるPancreatic neuroendocrine tumor(P-NET)の頻度は8~17%で多くが非機能性である。今回われわれはVHL病に伴うP-NETに対し術前に膵管ステントを留置し、安全に腫瘍核出術を施行しえた1例を経験したので報告する。【症例】28歳の男性で、小脳血管芽腫に対する術前精査で膵鉤部腫瘍と右腎腫瘍、網膜腫瘍を認めた。家族歴は認めず、遺伝子異常は未確定であったが、合併腫瘍からVHL病が疑われ、小脳血管芽種の切除後に当科紹介受診となった。造影CT検査動脈相で膵鉤部に強い造影効果を伴う腫瘍を認めた。ERCPでは主膵管に異常を認めず、針生検細胞診はclass IIIbで、組織診はP-NETを疑う所見であった。またEUSでは腫瘍は主膵管に近接していた。治療はVHL病診療ガイドラインに基づき、腫瘍核出術が望ましいと考えた。術前に膵管ステントを留置し、術中にエコー、触診で主膵管を確認して、損傷することなく安全に腫瘍核出術を施行しえた。経過は良好で術後10日目に退院した。病理組織結果はchromogranin A陽性、synaptophysin陽性、CD56陽性、Insulin陰性、Glucagon陰性、PP陰性、Somatostatin陰性で、Ki-67 1.72%、核分裂像は10HPF当たり2個未満であり非機能性P-NET、G1の診断であった。【考察】VHL病は稀な疾患であり、腫瘍は多臓器に多発し、再発性、若年発症という特徴を持っている。治療は可能な限り機能温存を考慮した術式を選択する必要があるとされている。一方で非機能性P-NETは、症例によってリンパ節郭清を含む根治的切除を行う必要があるが、VHL病に伴うP-NETは異時性に多発する可能性があり、非機能性であっても診療ガイドラインでは腫瘍核出術が基本とされている。術前に膵管ステントを留置することで、主膵管を損傷することなく安全に腫瘍核出術を施行した。【結語】今回われわれはVHLに伴うP-NETに対し、安全に腫瘍核出術を施行しえた1例を経験した。 |
索引用語 | VHL病, P-NET |