セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 015:

腸管内膜症から発生した癌の一例

演者 鈴木 麻衣子(順天堂大学 医学部 消化器内科)
共同演者 泉 健太郎(順天堂大学 医学部 消化器内科), 日高 康博(順天堂大学 医学部 消化器内科), 芹澤 信子(順天堂大学 医学部 消化器内科), 澁谷 智義(順天堂大学 医学部 消化器内科), 坂本 直人(順天堂大学 医学部 消化器内科), 鈴木 聡子(順天堂大学 医学部 消化器内科), 渡辺 純夫(順天堂大学 医学部 消化器内科), 嵩原 一裕(同 大腸・肛門外科), 五藤 倫敏(同 大腸・肛門外科), 坂本 一博(同 大腸・肛門外科), 八尾 隆史(同 人体病理病態学講座)
抄録 【症例】62歳、女性【既往歴】子宮筋腫【経過】生来健康、子宮筋腫の指摘はあるものの、子宮内膜症などの症状なく経過していた方。半年前からの血便・排便困難・便の狭小化を主訴に当科外来受診となった。大腸内視鏡検査で、肛門縁から12cmの直腸Rsに易出血性の全周性2型病変を認め、病理診断では中分化腺癌の診断であった。病変はファイバー通過可能であり、注腸検査では、長径約4cmのapple core signを呈していた。CT・MRIでは病変と隣接して多発する子宮筋腫、及び子宮腺筋症の所見を認めるものの、明らかな遠隔転移を認めなかった。これらより、進行直腸癌の診断で低位前方切除術を施行した。術中所見では腫瘍が子宮に浸潤しており剥離は困難であったため、子宮および両付属器の合併切除を必要としたものの、その他特記所見を認めなかった。最終病理診断では子宮の類内膜腺癌に類似した組織像を認めた。腺癌細胞の免疫染色ではCDX2(-)、CK7(+)、CK20(-)、ER(+)と子宮内膜由来を示す結果であり、癌の浸潤形態や、周囲大腸壁に子宮内膜症が存在していた事から、大腸壁より発生した類内膜腺癌(pSI,int,INFb,ly0,v1,pN1,pPM0,pDM0)と診断した。術後経過は良好であり、術後11日で退院となった。その後術後補助化学療法として、現在PTX+カルボプラチン療法を継続して施行している。【考察】腸管子宮内膜症の発生頻度は子宮内膜症のうち12.1%と報告され、好発部位はS状結腸・直腸である。しかし、本症例のように悪性化した報告は極めて少ない。今回稀な症例を経験したため、若干の文献的考察も加えて報告する。
索引用語 腸管子宮内膜症, 大腸癌