セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 018:

出血を繰り返した基礎疾患を有する大腸憩室出血の2例

演者 内田 久美子(東京医科大学病院 消化器内科)
共同演者 後藤田 卓志(東京医科大学病院 消化器内科), 福澤 誠克(東京医科大学病院 消化器内科), 草野 央(東京医科大学病院 消化器内科), 八木 健二(東京医科大学病院 消化器内科), 野中 雅也(東京医科大学病院 消化器内科), 山本 圭(東京医科大学病院 消化器内科), 辻 修一郎(東京医科大学病院 消化器内科), 八木 直子(東京医科大学病院 消化器内科), 佐藤 丈征(東京医科大学病院 消化器内科), 植松 淳一(東京医科大学病院 消化器内科), 岸本 佳子(東京医科大学病院 消化器内科), 河野 真(東京医科大学病院 消化器内科), 森安 史典(東京医科大学病院 消化器内科)
抄録 大腸憩室出血は下部消化管内視鏡検査(TCS)施行時には止血されており、出血点の同定がなされずに症状改善して退院することも多い。一方で基礎疾患を持つ場合には出血が遷延し止血に難渋することも経験するが確定した止血法の推奨はない。【症例1】8●歳女性、狭心症、C型肝硬変(Child C)で当院通院中、二ヵ月前の大腸憩室出血の既往。今回、少量の下血を主訴に当科受診し、大腸憩室出血の再発を疑い、入院にて保存的加療の方針となった。第5 病日より頻回の下血を繰り返し貧血も進行したためRCC 2単位輸血し、第8病日にTCSを施行。S状結腸に多発する憩室と暗赤色の血液付着を認めるも明らかな出血点の同定はできず、第9病日に憩室へのバリウム充填を確認した。その後は下血なく経過良好のため第15病日退院となった。【症例2】5●歳男性、2型糖尿病、慢性腎不全で透析加療中。陳旧性心筋梗塞に対しクロピドグレル硫酸塩を服用中。今回、右下腹部痛および大量下血を認め救急搬送となった。抗血小板薬内服中止とし、来院時収縮期血圧の低下を認めたため、補液および輸血により循環動態が安定した後、腹部単純CT検査を施行し上行結腸に散発する憩室と憩室周囲の脂肪織混濁を認めた。第5病日にTCS行い上行結腸に少数の憩室を認めたが、明らかな活動性出血はなく保存的加療となったが,第8病日に再度大量下血を認めた。緊急のTCSにて上行結腸の憩室に血餅が付着し、スネアにて剥離すると憩室内潰瘍を認めた。責任病変と考え、クリップにて縫縮した。2日後、止血クリップがはずれていたために再度下血を認めたが、クリップ止血により以後再発なく経過し退院となった。今後の日本の社会構造を考慮すると、基礎疾患を有する場合や抗血栓薬服用する大腸憩室出血症例が増加することが予測される。今回、繰り返す憩室出血に対して異なる止血法を選択した基礎疾患を有する2症例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 大腸憩室出血, 治療法