セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 040:

当科入院となった胃・食道静脈瘤症例に対する内視鏡治療の検討

演者 増田 直仁(独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター)
共同演者 田中 匡実(独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター), 島田 祐輔(独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター), 原田 舞子(独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター), 佐々木 善浩(独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター), 上市 英雄(独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター), 川村 紀夫(独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター), 平田 啓一(独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター)
抄録 【目的】わが国では胃・食道静脈瘤症例に対して内視鏡治療が盛んに行われる。当科入院の胃・食道静脈瘤症例において、原因疾患と治療法の選択、さらには再破裂までの期間を検討した。【対象】過去3年間に当科入院となった胃・食道静脈瘤74症例において、原因疾患を調査した。また、その中の破裂した39症例における原因疾患と治療法を調べ、さらに、現在までフォローされていた15症例において再破裂までの期間を調査した。【結果】当科入院症例における胃・食道静脈瘤の原因疾患はアルコール性肝硬変が59%と最多であり、破裂症例もアルコール性肝硬変が69%と最多であった。また、破裂症例に対する治療法としてはEVLが75%を占めた。一方、当科では通常、内視鏡治療後113±79.3日に内視鏡再検を実施している。しかし、静脈瘤破裂症例39症例のうちフォローできた15症例において、内視鏡治療施行後に再破裂した症例は53%(8症例)にのぼり、そのうち62.5%(5症例)は再破裂までの期間が90日未満であり、その平均は59.0日であった。これらのいずれの症例も再破裂前に内視鏡再検は行われていなかった。また、一方で、治療後の内視鏡再検でRC陰性と判断された症例においても、13.3%(2症例)では再破裂を認めた。【考察】当科入院における胃・食道静脈瘤症例と静脈瘤破裂症例の原因はともにアルコール性肝硬変が最多であった。アルコール性肝硬変患者は、定期的に医療機関を受診しておらず、静脈瘤の診断やフォローもされずに、静脈瘤が破裂して初めて医療機関を受診する症例が多いためであることが示唆される。また、静脈瘤破裂症例において、内視鏡治療後も短期間での再破裂率が高かった。以上より、胃・食道静脈瘤再破裂の予防には、破裂症例に対する内視鏡治療後の内視鏡再検は、非破裂症例における内視鏡治療後の内視鏡再検よりも短いインターバルで行うことがより有効な可能性があると考えられた。
索引用語 胃・食道静脈瘤, 破裂