セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 020:

肝膿瘍破裂後の肝被膜下膿瘍に対して腹腔内ドレナージを施行し、救命しえた一例

演者 戸塚 雄一朗(横浜市大附属市民総合医療センター)
共同演者 石井 寛裕(横浜市大附属市民総合医療センター), 道端 信貴(横浜市大附属市民総合医療センター), 羽尾 義輝(横浜市大附属市民総合医療センター), 近藤 正晃(横浜市大附属市民総合医療センター), 福田 浩之(横浜市大附属市民総合医療センター), 野崎 昭人(横浜市大附属市民総合医療センター), 沼田 和司(横浜市大附属市民総合医療センター), 田中 克明(横浜市大附属市民総合医療センター), 前田 愼(横浜市立大学附属病院)
抄録 症例は77歳男性。【主訴】上腹部痛。【現病歴】30年前にC型肝炎を指摘され、IFN治療を施行したがSVRとならかった。その後は、治療を自己中断していた。2012年9月肝細胞癌破裂にてTACE施行。以降外来で経過観察されていた。2013年4月にて発熱、意識障害にて当院へ救急搬送された。敗血症に伴う血圧低下を認め、腹部単純CTでは上行結腸憩室炎と肝膿瘍を疑った。精査加療目的で当科入院となった。【既往歴】45歳 C型肝炎、高血圧【家族歴】特記なし【生活歴】飲酒 日本酒2合/day、喫煙 10本/day、アレルギーなし【内服薬】アムロジピンベシル酸塩 5mg 【入院時現症】血圧120/48mmHg、脈拍98/min、体温37.0℃、右季肋部に圧痛を認めた。Murphy signは陰性であった。【血液検査所見】WBC21800、CRP19、【画像所見】腹部単純CT 上行結腸に憩室を認め、壁は肥厚していた。肝内には低吸収域が多発していた。【入院後経過】憩室炎による多発肝膿瘍が疑われた。DICを合併したため絶食、補液、抗生剤、ナファモスタットメシル酸塩投与の方針となった。血液検査では、DICは改善したが、炎症所見は遷延し、フォローアップの腹部CTでは肝被膜下に限局する低吸収域を認めた。腹腔内膿瘍を疑い試験穿刺をしたところ膿性の穿刺液が引けた。肝膿瘍が破裂し、肝被膜下へ膿瘍形成したものと考えた。抗生剤を併用しながら、腹腔内ドレナージを繰り返し施行した。全身状態改善し、第69病日に軽快退院となった。
索引用語 肝膿瘍, 感染症