セッション情報 一般演題

タイトル 091:

肝機能障害・肝組織中の血管炎所見を呈した、顕微鏡的多発血管炎の一例

演者 玉井 恒憲(国立病院機構埼玉病院 消化器内科)
共同演者 櫛田 幸(国立病院機構埼玉病院 消化器内科), 廣瀬 徳彦(国立病院機構埼玉病院 消化器内科), 清水 孝悦(国立病院機構埼玉病院 消化器内科), 倉持 みずき(国立病院機構埼玉病院 消化器内科), 細田 泰雄(国立病院機構埼玉病院 消化器内科), 関塚 永一(国立病院機構埼玉病院 消化器内科)
抄録 症例は77歳、男性。主訴は微熱、盗汗、食欲不振。2か月前より微熱、寝汗、食欲低下、肩・首の痛みもあり、2か月間で約5kgの体重減少を認め、かかりつけ医にて抗生剤を処方されるも改善せず、当科受診し入院した。来院時身体所見では、37.7度の微熱、四肢躯幹に紅斑・紫斑皮疹が散在、四肢末梢側に非対称性にしびれ感を認めた。血液検査所見では、軽度肝機能障害、胆道系酵素上昇、腎機能障害、CRP著明高値、白血球軽度上昇、MPO-ANCA陽性を認めた。CTでは、両肺下葉の間質性肺炎・牽引性気管支拡張、胆石を認めた。エコー、MRCPでは約1cmまでの胆石を複数個認め、胆管には明らかな異常所見は認めなかった。肝生検検査を施行し、やや太い門脈域を認め、小葉間胆管はやや圧排されており、動脈壁のフィブリノイド変性と炎症細胞浸潤を認めた。顕微鏡的多発血管炎と診断し、プレドニゾロン40mg/day投与にて治療を開始し約10日毎にプレドニゾロンを漸減。症状、炎症反応、肝機能は改善し、1か月半後に退院した。顕微鏡的多発血管炎での肝障害は少ないとされている。今回我々が検索したところでは、肝障害あるいは肝組織中の血管炎所見を呈した顕微鏡的多発血管炎の報告例は、自験例と合わせ7例あった。生前に診断がつかず剖検となった一例を除き、いずれの症例もステロイド単独あるいはステロイド、サイクロホスファミド併用にて肝機能を含めた臨床所見の改善を認めていた。自験例以外で肝組織所見が得られた3例では、小葉間動静脈の血管炎、門脈域の炎症、小葉間胆管の消失や変形、など、自験例と概ね共通した所見であった。以上の報告例より、胆道系酵素の上昇の割にトランスアミナーゼの上昇が軽度である、ステロイド(+サイクロホスファミド)による治療に反応して改善する、小葉間血管壁にフィブリノイド壊死、炎症細胞浸潤などの血管炎所見を呈する、門脈域の線維化、小葉間胆管の変形を認める、といったことが肝障害を呈した顕微鏡的多発血管炎の特徴として考えられた。
索引用語 顕微鏡的多発血管炎, 肝機能障害