セッション情報 一般演題

タイトル 075:

胃バリウム検査で発見される胃ポリープとピロリ菌抗体価・ペプシノゲンI/II比との相関

演者 山道 信毅(東京大 医学部 消化器内科)
共同演者 皆月 ちひろ(東京大 医学部 消化器内科), 松田 梨恵(東京大 医学部 消化器内科), 高橋 悠(東京大 医学部 消化器内科), 中山 千恵美(東京大 医学部 消化器内科), 今野 真己(東京大 医学部 消化器内科), 竹内 千尋(東京大 医学部 消化器内科), 小田島 慎也(東京大 医学部 消化器内科), 小野 敏嗣(東京大 医学部 消化器内科), 新美 惠子(東京大 医学部 消化器内科), 藤城 光弘(東京大 医学部 消化器内科), 辻 陽介(東京大 医学部 消化器内科), 望月 暁(東京大 医学部 消化器内科), 平山 慈子(東京大 医学部 消化器内科), 柿本 光(東京大 医学部 消化器内科), 光島 徹(亀田メディカルセンター 幕張), 小池 和彦(東京大 医学部 消化器内科)
抄録 【目的】胃バリウム検査(MDL)で同定される胃ポリープに関して、同時に測定したピロリ菌(HP)抗体価・ペプシノゲン(PG)I/II比と比較解析を行ない、現在の我が国における胃ポリープと背景胃粘膜の関連を明らかにすることを目的とする。【方法】大規模人間ドック(千葉県千葉市)で2010年上半期にMDLを受けた者のうち、研究参加同意が得られ、データ欠損がないのは3018人であった。このうち、HP除菌治療経験者142人、プロトンポンプ阻害剤内服者25人を除外した2851人を解析対象とし、HP抗体価・PG I/II比との比較解析を行なった。【結果】解析対象2851人のうち、胃ポリープを認めたのは550人、認めなかったのは2301人であった。両群におけるHP抗体価の分布は、《胃ポリープ(+)群》HP抗体価≧10:14人(2.5%)、10>HP抗体価≧3:4人(0.7%)、3>HP抗体価:532人(96.7%)、《胃ポリープ(-)群》HP抗体価≧10:718人(31.2%)、10>HP抗体価≧3:75人(3.3%)、3>HP抗体価:1508人(65.5%)であった。一方、PG I/II比の分布は、《胃ポリープ(+)群》PG I/II比>3:538人(97.8%)、3≧PG I/II比>2:5人(0.9%)、3≧PG I/II比:7人(1.3%)、《胃ポリープ(-)群》PG I/II比>3:1974人(85.8%)、3≧PG I/II比>2:222人(9.6%)、3≧PG I/II比:105人(4.6%)であった。【結論・考察】現在の我が国の胃バリウム検査で発見される胃ポリープ症例の殆どは、HP抗体価陰性・PG I/II比>3であり、ピロリ菌感染・萎縮のない背景胃粘膜から生じていることが明らかとなった。胃バリウム検査で発見された胃ポリープを内視鏡精査に回すかは医療機関によって異なるのが実情であるが、現在の我が国のMDL同定胃ポリープの大半が胃癌リスクの低い背景粘膜から生じていることは、考慮されるべきと考えられる。
索引用語 胃ポリープ, ピロリ菌