セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 012:

門脈ガス血症を伴う虚血性小腸炎の2例

演者 松村 梓(JR東京総合病院 消化器内科)
共同演者 關場 一磨(JR東京総合病院 消化器内科), 坪井 真代(JR東京総合病院 消化器内科), 黒岩 貴之(JR東京総合病院 消化器内科), 松本 裕太(JR東京総合病院 消化器内科), 八木岡 浩(JR東京総合病院 消化器内科), 大前 知也(JR東京総合病院 消化器内科), 赤松 雅俊(JR東京総合病院 消化器内科), 岡本 真(JR東京総合病院 消化器内科)
抄録 【症例1】主な既往として糖尿病、心筋梗塞がある8 3歳女性。夕食時に突然心窩部痛、嘔吐が出現し、同日救急搬送された。腹部造影CT検査で門脈ガス、回腸末端の壁肥厚を認め、虚血性小腸炎が疑われた。小腸の腸管壁の造影効果は保たれていたため腸管壊死はないと判断し、保存的加療の方針とし絶食、補液を行った。入院後、血便を認めたが腹痛などの症状は改善傾向となった。小腸カプセル内視鏡検査では回腸末端においてほぼ全周性に潰瘍を認め、虚血性小腸炎と診断された。食事を再開後も経過良好であり退院した。【症例2】既往として脳梗塞を認め左不全麻痺がある75歳男性。夕食後に突然腹痛、嘔吐が出現し、同日救急搬送された。腹部造影CT検査で門脈ガス、上腸間膜静脈内のガス、回腸に腸管壁内気腫を認め、虚血性小腸炎が疑われた。来院後に腹痛はやや軽減しており、小腸の腸管壁の造影効果は保たれていたため腸管壊死はないと判断し、保存的加療の方針とし絶食、補液を行った。入院後、血便を認めヘパリン投与は中止した。その後、腹部の圧痛などの症状は改善傾向となった。小腸カプセル内視鏡検査では回腸末端より手前においてほぼ全周性に潰瘍を認め、虚血性小腸炎と診断された。食事を再開後も経過良好であったが、腹部造影CT検査で門脈血栓症を認め、ワーファリン内服を開始した後に退院した。【考察】門脈ガス血症は成因として腸管壊死を認めることが多く、緊急手術が必要である場合が多い。死亡率も低くはなく、予後不良な病態と考えられている。今回、門脈ガス血症を呈する虚血性小腸炎であったが、いずれも腸管壊死所見は明らかではなく、保存的加療で軽快を得た2例を経験したため、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 門脈ガス血症, 虚血性小腸炎