セッション情報 一般演題

タイトル 074:

当初熱中症と診断された食道異物の一例

演者 橋本 良明(柏成会 青木病院 内科)
共同演者
抄録 【症例】67歳、男性【主訴】食欲低下、嘔吐【現病歴】2013年7月11日、屋外仕事終了後から食欲低下、全身倦怠感出現、自身で熱中症と思い、水分を積極的に摂取するもすぐに嘔吐。自宅で様子見るも、食事取れず、尿量少量となり、同13日当院を受診。意識清明、歩行可能。身長163cm・体重46kg(BMI:17.3)のやせ、口腔内乾燥の他、理学的所見に特筆すべきことはなし。受診時の体温36.9℃、血圧127/86mmHg、脈拍81拍/分であったが、発症日の11日は最寄りの観測地点での最高気温38℃超の猛暑日であったこと、職業が屋根の塗装業であること等より熱中症を疑い、精査加療目的で入院した。【入院後経過】BUN46、クレアチニン1.25、尿酸11.8、電解質は異常なし。胸部XP異常なし、腹部単純XPでは胃胞が描出されず。脱水の補正のため輸液治療を開始、更にスポーツドリンク等の積極的摂取を勧めたが、一気に摂取すると心窩部のむかつき、嘔気が出現した。第4病日には生化学的検査は正常化、食事開始を検討したが、熱中症にしては経過がゆっくりで、また入院後も嘔気の訴えが認められたため、第5病日に上部消化管内視鏡を実施した。食道は全体にやや拡張し、多量の水様液体貯留を認めた。吸引すると食道下端に白色の長立方形の固形物が出現、内視鏡で押してみるとやや抵抗があるも、胃内に落とせた。バスケット鉗子で回収したところ、20x10x10mmの肉用片であった。指で容易にほぐれ、色や線維の状況から、鶏肉、白身魚あるいは貝柱ではないかと思われた。内視鏡後、食事は問題なく摂取できた。改めての問診では発症前日夜に鶏の唐揚を多く食べたこと、歯が悪く十分に噛めない状態であったことがわかった。【考察】本例は当初熱中症の脱水と診断したが、実際には十分に咀嚼せずに嚥下した鶏肉塊が食道下端を塞ぎ、水分等の通過を妨害していたと思われた。鶏肉片程度の食道異物で通過障害が出現した報告は少なく、また通常、嘔吐反射によりこのような異物は吐出されると思われるが、この症例では異物が残存していた。興味深い症例と考え、その後に実施した上部消化管造影の結果等を踏まえて報告する。
索引用語 食道異物, 熱中症