セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 069:エルロチニブ併用ゲムシタビン療法が奏効し切除可能となった進行膵癌の一例 |
演者 | 桑原 明子(国立がん研究センター 東病院 肝胆膵内科) |
共同演者 | 池田 公史(国立がん研究センター 東病院 肝胆膵内科), 奥山 浩之(国立がん研究センター 東病院 肝胆膵内科), 高橋 秀明(国立がん研究センター 東病院 肝胆膵内科), 大野 泉(国立がん研究センター 東病院 肝胆膵内科), 清水 怜(国立がん研究センター 東病院 肝胆膵内科), 光永 修一(国立がん研究センター 東病院 肝胆膵内科), 本多 正幸(国立がん研究センター 東病院 肝胆膵外科), 小西 大(国立がん研究センター 東病院 肝胆膵外科), 小嶋 基寛(国立がん研究センター 東病院 臨床開発センター 臨床腫瘍病理部) |
抄録 | 【背景】欧米で行われた第III相臨床試験(Moore, 2007)において、エルロチニブ併用ゲムシタビン療法は、ゲムシタビン療法と比較して有意に生存期間を延長し、ゲムシタビン療法と並んで切除不能膵がんに対する標準治療の一つに位置づけられた。しかし、生存期間の延長が限られており、比較的高頻度の有害事象が報告されたことから、国内においてはあまり浸透していないのが現状である。今回、エルロチニブ併用ゲムシタビン療法が奏効した進行膵癌の一例を経験したので報告する。【症例】62歳、男性。2011年12月 検診の超音波検査で主膵管拡張を指摘され、紹介受診した。腹部CTで膵体部に一部に充実性成分を伴う嚢胞性病変 21mm大を認め、膵管内乳頭粘液性腺癌が疑われた。また、傍大動脈リンパ節が複数腫大していた。経皮的膵腫瘍生検、リンパ節生検にて腺癌が確認され、切除不能膵癌 (cT3N1M1 stageIV)と診断された。2012年1月27日よりエルロチニブ併用ゲムシタビン療法を開始した。治療開始3ヶ月後の胸部CTにて間質性肺炎と診断され、化学療法は中止となったが、4ヶ月後の腹部CTで原発巣、リンパ節ともに著明に縮小しており、部分奏効(PR)と判定した。治療開始5ヶ月後に膵体尾部切除術を施行した。病理診断はIntraductal papillary mucinous carcinoma with an associated invasive carcinomaであり、郭清した傍大動脈リンパ節に転移の所見を認めた。術後よりS1療法を開始し、初回治療開始より1年6ヶ月が経過した現在も、画像上再発なく化学療法を継続中である。【まとめ】切除不能進行膵癌に対してエルロチニブ併用ゲムシタビン療法を施行し、間質性肺炎を発症したものの切除可能となり、良好な経過をたどっている症例を経験した。エルロチニブ併用ゲムシタビン療法の効果は限定的ととらえられることが多いが、統計学的に有意な生存期間の延長が認められており、かつこのように奏効する症例もみられる。今後はバイオマーカーを含めた探索的な研究を行い、どのような症例で効果が期待されるのかを明らかにしていく予定である。 |
索引用語 | 膵癌, 化学療法 |