セッション情報 一般演題

タイトル 068:

膵頭部腫瘤に対し手術が行われ自己免疫性膵炎2型と診断された1例

演者 下山田 雅大(水戸医療センター)
共同演者 山口 高史(水戸医療センター), 石田 博保(水戸医療センター), 吉田 茂正(水戸医療センター), 伊藤 有香(水戸医療センター), 佐藤 大幹(水戸医療センター), 高木 薫子(水戸医療センター)
抄録 今回我々は膵癌を疑い手術を行ったが自己免疫性膵炎2型であった1例を経験したのでこれを報告する。症例は79歳女性。平成24年6月に胃部不快を主訴に近医受診。エコーにて総胆管、膵管拡張を認めた。その際にMRCP、CT試行したが明らかな腫瘤は指摘されずに経過観察となった。10月に経過観察目的にエコー、CTを行うと膵管の拡張、総胆管拡張の増悪を認め膵頭部に境界不明瞭な腫瘤性病変を疑われた。膵癌をもっとも疑い12月当院紹介となった。当院で施行されたCT,MRCPでは膵実質は委縮しており同様に膵頭部にやや造影される腫瘤を疑う所見を認めた。自己免疫性膵炎、膵癌の鑑別を要すると考えERCPを行い膵管の途絶、狭窄像、また上流の膵管拡張を認めた。血液検査所見ではIgG、抗核抗体、IgG4は陰性であった。以上より本邦に多く認められる自己免疫性膵炎1型の診断基準には満たないと判断。増悪傾向あることから膵癌を最も疑い十分な説明と同意のもと手術の方針とした。2013年1月幽門輪温存膵頭十二指腸切除術施行した。病理診断は自己免疫性膵炎2型であった。
 自己免疫性膵炎2型は2011年に発表された本邦における自己免疫性膵炎診断基準では参照として触れられているのみであり画像や臨床所見では診断できず,診断のためには病理組織学的検索が必須である。さらにその組織学的検索でも生検膵組織での確診は困難なことが多いとされている。自己免疫性膵炎2型は欧米に多いとされ本邦ではまれな疾患であり若干の文献的考察とともにこれを報告する。
索引用語 自己免疫性膵炎, 膵癌