セッション情報 一般演題

タイトル 96:

当院における内視鏡的止血術に至った下部消化管出血症例の検討

演者 秦 佐智雄(旭中央病院 内科)
共同演者 高橋 亜弓(旭中央病院 内科), 宮川 明祐(旭中央病院 内科), 松島 知広(旭中央病院 内科), 中村 朗(旭中央病院 内科), 紫村 治久(旭中央病院 内科), 糸林 詠(旭中央病院 内科), 志村 謙次(旭中央病院 内科)
抄録 【背景】当院は千葉県東部地域唯一の三次医療機関であり、下部消化管出血は臨床的によく遭遇する疾患である。内視鏡的止血術が第一選択であるが、時に手術やIVRによる止血術が必要になることもある腹部救急疾患の一つである。また、食の欧米化、高齢化社会における低用量アスピリンを含むNSAIDsの使用量の増加が下部消化管出血の発症に拍車を掛けている。【目的】下部消化管出血に対する緊急内視鏡検査の有用性と1次止血成功に関わる因子を明らかにするためretrospectiveに検討を行った。【対象・方法】緊急内視鏡検査は発症後72時間以内における内視鏡検査とした。対象は、2011年4月から2013年7月の間に、当院にて下部消化管出血に対する緊急内視鏡で止血術に至った症例とした。【結果】緊急内視鏡的止血術を施行した169例(男性113、女性56)の平均年齢は66.7±12.3歳であった。1次止血成功群は143例、不成功群は26例あり、当院における1次止血率は84.6%であった。また、1次止血不成功群の26例の内5例は外科的手術に至った。1次止血成功・不成功群間において、治療後から食事開始までの日数と、内視鏡診断として憩室出血・EMR後出血において明らかな有意差を認めた。抗血小板薬凝固薬内服の有無や出血源部位、止血術法(クリップのみ/クリップ+各種併用/その他)に関しては明らかな有意差は認められなかった。また、1次止血成功に関わる因子として、単変量解析では年齢(オッズ比0.978、95%信頼区間(Cl)0.965-0.991、p<0.01)、性別(男性)(オッズ比1.405、95%Cl1.009-1.957、p=0.04)、抗血小板凝固薬内服の有無(オッズ比0.672、95%Cl0.476-0.949、p=0.03)が1次止血成功に関わる独立した因子であった。また、多変量解析では年齢(オッズ比0.982、95%Cl0.968-0.995、p<0.01)のみが挙げられた。【結論】緊急下部消化管内視鏡検査は、下部消化管出血に対して有用なmodalityであった。尚、当院における比較的低い一次止血成功率は、当院においては可能な限りレジデントが第一術者として治療を行うことになっており、一因として考慮された。
索引用語 消化管出血, 緊急内視鏡