セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 77:

広範な門脈系内腫瘍栓を認めた膵腺房細胞癌の1例

演者 大山 博生(東京大学 医学部 消化器内科)
共同演者 水野 卓(東京大学 医学部 消化器内科), 松川 美保(東京大学 医学部 消化器内科), 梅舟 仰胤(東京大学 医学部 消化器内科), 齋藤 圭(東京大学 医学部 消化器内科), 斎藤 友隆(東京大学 医学部 消化器内科), 川畑 修平(東京大学 医学部 消化器内科), 秋山 大(東京大学 医学部 消化器内科), 高原 楠昊(東京大学 医学部 消化器内科), 内野 里枝(東京大学 医学部 消化器内科), 濱田 毅(東京大学 医学部 消化器内科), 宮林 弘至(東京大学 医学部 消化器内科), 毛利 大(東京大学 医学部 消化器内科), 木暮 宏史(東京大学 医学部 消化器内科), 佐々木 隆(東京大学 医学部 消化器内科), 中井 陽介(東京大学 医学部 消化器内科), 山本 夏代(東京大学 医学部 消化器内科), 平野 賢二(東京大学 医学部 消化器内科), 伊佐山 浩通(東京大学 医学部 消化器内科), 多田 稔(東京大学 医学部 消化器内科), 小池 和彦(東京大学 医学部 消化器内科)
抄録 【症例】症例は44歳、男性。2013年3月より心窩部痛が出現し、同年6月に近医にて腹部超音波検査を施行、膵腫瘍を指摘され当科紹介受診。入院時検査所見では、血清アミラーゼ値は正常であったが、リパーゼは7129 U/Lと高値を認めた。肝胆道系酵素の上昇を認めたが、黄疸は認めなかった。腫瘍マーカー(CEA・CA19-9)は正常であった。腹部超音波検査では、膵頭部に境界明瞭で、辺縁不整な65×40mm大の内部不均一な低エコー性腫瘤を認めた。造影CTでは、動脈相で軽度の造影効果を認め、平衡相では低吸収な腫瘤であった。脾動脈・総肝動脈に近接・圧排していたが、encasementは認めなかった。同病変から連続して門脈内には充実成分が充満し、血管径は拡大していた。同部にも動脈相での軽度の造影効果を認め、門脈内腫瘍栓と考えられた。腫瘍栓は脾静脈脾門部から門脈本幹に連なり、更に門脈右枝前後区域枝分岐部、門脈左枝臍部にまで至っており、極めて広範に門脈系内に進展していた。MRCPでは膵頭部の腫瘤により主膵管・総胆管ともに狭窄しているが、上流の拡張はいずれも軽度であった。膵頭部の低エコー性腫瘤に対してEUS-FNAを施行し、膵腺房細胞癌と確定診断することができた。遠隔転移は認めなかったものの、広汎な門脈系内腫瘍栓の進展を認めることから手術適応なしと判断され、GemcitabineとS-1による併用化学療法が導入された。現在外来で治療継続中である。
【結語】膵腺房細胞癌は本邦における膵腫瘍の0.4%程度と報告されており、稀な病理組織型である。周囲への浸潤傾向の強い通常型膵癌と異なり、膨張性の発育形態を示すのが特徴で、近接する胆管や動脈に対しても浸潤を示さないことも多い。このため黄疸などの症状を呈することも通常型膵癌に比べて少なく、比較的大きなサイズで発見されることも多い。また門脈腫瘍栓や膵管内発育を伴う症例も報告されている。今回我々は、極めて広範な門脈系内腫瘍栓を伴う膵腺房細胞癌の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 膵腫瘍, EUS-FNA