セッション情報 一般演題

タイトル 37:

PEG-IFNα-2a+ribavirin療法を施行したC型肝炎腎移植患者の1例

演者 小崎 浩一(国立水戸医療センター 臓器移植外科)
共同演者 湯沢 賢治(国立水戸医療センター 臓器移植外科), 山口 高史(国立水戸医療センター 消化器科), 石田 博保(国立水戸医療センター 消化器科), 吉田 茂正(国立水戸医療センター 消化器科)
抄録 【はじめに】現在C型肝炎(HCV)治療の主体は、interferon(IFN)/ ribavirin(rib)療法であるが、透析患者では腎機能の問題からrib投与は原則禁忌でありIFN単独療法とならざるを得ない。しかし透析患者へのIFN治療はその効果・副作用の問題からIFN単独療法でさえ十分に行われているとは言えず、腎移植施行時にHCV未治療の患者が数多く存在し、しばしば腎移植後肝障害を生ずる。わが国では20年以上生存・生着のHCV腎移植患者はまだ少ないが、近年腎移植成績の向上により長期生存患者が増加しHCV腎移植患者にも肝硬変・肝癌発生の増加が懸念される。さらにC型肝炎ウイルスにより膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)が引き起こされ、腎移植後高度の蛋白尿からネフローゼ症候群を呈し移植腎機能喪失に至ることがある。今回移植後肝障害を生じ、さらにHCV関連MPGNを発症した1例にIFN/rib療法を行ったので報告する。【患者】44歳、男性。糖尿病性腎症により慢性腎不全となり、HCV未治療のまま妻をドナーとして2007年4月生体腎移植術施行。術後血清クレアチニン値 (S-Cr:mg/dl)は 1.5前後で推移。2012年3月頃より肝障害を生じ、S-Crが 2.0に上昇、1日尿蛋白量(UP:g/day)が5以上となり、腹水の増加・全身浮腫を生じた。さらにHCV-RNA量 (log IU/ml) 7.8以上と高ウイルス量となり、腎生検でHCV関連MPGNと診断された。6月よりVRAD+IFN/rib療法を開始した。IFN投与量は血液検査をみつつ90-180μg/1-2wkで調整した。さらにribはeGFRが30-35ml/minと50以下の低腎機能のため、ribの蓄積を考慮して血中濃度 (C:ng/ml)を定期的に測定し、副作用の有無からribの有効Cである2500以上になるように投与量を調整した。現在治療開始15カ月になるがHCV-RNAは検出限界以下となり、肝機能の改善、UPの減少を認めIFN/rib療法を継続中である。【結論】HCV関連腎症にはIFN/rib療法が有効とされ、HCV腎移植患者の肝機能維持と移植腎長期生着のためにIFN/rib療法は重要である。低腎機能でもrib-Cを定期的に測定し、その効果・副作用を的確に評価し投与量の調整をすればIFN/rib療法は可能と考える。
索引用語 C型肝炎, C型肝炎関連腎炎