セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | 90:胃結腸瘻を形成した胃潰瘍の一例 |
演者 | 田中 秀典(原町赤十字病院 内科) |
共同演者 | 木村 有宏(原町赤十字病院 内科), 竹内 卓(原町赤十字病院 内科), 鈴木 秀行(原町赤十字病院 内科), 竹澤 二郎(原町赤十字病院 内科), 岡田 寿之(原町赤十字病院 外科), 田嶋 公平(原町赤十字病院 外科), 笹本 肇(原町赤十字病院 外科), 内田 信之(原町赤十字病院 外科) |
抄録 | 【症例】60歳男性【現病歴】夜間就寝中に便意を感じトイレに向かったところ大量の鮮血の下血があり、数分間意識を消失した。近医に救急搬送され、収縮期血圧60mmHg台で出血性ショックと診断され当院に転院となった。【既往歴】腰部脊柱管狭窄症、腰痛、高血圧症で内服治療中であり、NSAIDsを定期内服していた。糖尿病の既往なし。【身体所見】身長153cm体重47.1kgBMI20.1)、腹部は軟、平坦、腸蠕動音亢進、圧痛なし。【血液検査所見】Hb5.4g/dl、WBC16120/μl、CRP8.3mgdl、アルブミン2.3g/dl【入院後経過】輸液および輸血により循環動態を安定させ、上部消化管内視鏡検査および大腸内視鏡検査、腹部CTを行った。大腸内視鏡検査で脾弯曲部に胃と交通する潰瘍を伴った瘻孔を認め、瘻孔部からの組織より病理組織所見で胃粘膜の構築を有する検体が採取された。腹部CTでは結腸と胃を交通する瘻孔を認めた。透視下で上部消化管内視鏡検査を行ったところ、体中部後壁から大弯にかけて潰瘍を認め潰瘍底に瘻孔と思われる半球状の隆起を認めた。瘻孔よりガストログラフィンによる造影を行ったところ、下行結腸が描出された。病理組織所見で潰瘍に悪性所見は認めず、胃潰瘍による胃結腸瘻と診断した。第12病日胃部分切除術、結腸部分切除術を施行した。【考察】胃結腸瘻の原因疾患としては、胃癌、大腸癌などの悪性腫瘍や胃瘻造設術時の誤穿刺によるものが多く、本例のように良性の胃潰瘍による胃結腸瘻の報告は稀である。1985年から2004年までの報告で胃結腸瘻74症例中、胃癌16例(22%)、結腸癌21例(29%)と半数を占めるのに対し、胃潰瘍は9例(12%)であった(鍜治ら2005)。2005年以降の症例で胃潰瘍による胃結腸瘻の報告は15例のみであった。臨床的には下痢、るい痩、吐糞の症状をきたし(Marshallら1957)、診断には内視鏡検査、消化管造影検査が有用である。治療としては胃結腸切除術が行われる。今回、胃結腸瘻を形成した胃潰瘍の一例を経験したので報告する。 |
索引用語 | 胃結腸瘻, 胃潰瘍 |