セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 80:

腰背部痛を主訴に来院した直腸神経内分泌癌の1例

演者 笠原 道(相模原協同病院臨床研修医)
共同演者 長谷川 力也(相模原協同病院消化器病センター内科), 三島 孝仁(相模原協同病院消化器病センター内科), 矢野 貴史(相模原協同病院消化器病センター内科), 中目 哲平(相模原協同病院消化器病センター内科), 石黒 康浩(相模原協同病院消化器病センター内科), 村田 東(相模原協同病院消化器病センター内科), 荒木 正雄(相模原協同病院消化器病センター内科), 風間 暁男(相模原協同病院病理診断科)
抄録 腰背部痛を主訴に来院した直腸神経内分泌癌の1例1)相模原協同病院消化器病センター内科 2)相模原協同病院病理診断科 笠原 道1)、 長谷川 力也、三島 孝仁、矢野 貴史、中目 哲平、石黒 康浩、村田 東 荒木 正雄風間 暁男2) 【症例は】41歳、男性【既往歴】高血圧症【現病歴及び経過】2013年3月7日に腰背部痛を主訴に近医を受診。腰部X線で腰椎の骨吸収像を指摘された。腰椎MRIを施行したところ多発骨転移が疑われた。血液検査では胆道系酵素の上昇を認め、腹部MRIを施行したところ多発肝腫瘤を認めたため、3月12日当院消化器病センターを紹介受診となった。腹部超音波検査では 肝右葉S5・8を中心に辺縁低エコーを伴った複数の腫瘍を認め、胸腹部CTで多発転移性肝癌及び右肺上葉に転移と思われる結節影を認めた。また直腸 Rb 左側壁に壁外浸潤を伴う壁肥厚が認められ、周囲所属リンパ節の腫大も認めた。下部消化管内視鏡検査では、直腸Rb(AV 7cm)にbriding fold及び中心潰瘍を伴う30mm大の粘膜下腫瘍を認めた。同部位より生検を施行。病理診断にて免疫組織化学的にCGA陽性でMIB-1 indexが50%以上とhigh grade malignancyであり「神経内分泌癌」の診断に至った。大腸癌に占める神経内分泌癌の割合は0.2%未満と極めて稀な疾患であり、治療は手術が第一選択とされているが、発見時9割が転移を認めており化学療法を行う場合が多い。本症例でも受診時、多発する全身転移を認めている。確立された化学療法はないものの、現在肺小細胞癌に準じてシスプラチン+イリノテカンを使用するのがコンセンサスとされている。これに準じシスプラチン(60mg/m2)+イリノテカン(60mg/m2)での加療を開始し、初診時より約半年経過した現在、PRを維持できている。今回、極めて稀であり、かつ1年生存率10~15%と予後不良な神経内分泌癌に対し、シスプラチン+イリノテカンにて比較的良好な経過をたどっていると思われる症例を経験できたので、文献的考察を加え報告する。
索引用語 神経内分泌癌, カルチノイド