セッション情報 | 研修医セッション(卒後2年迄) |
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タイトル | 78:IgG4陰性自己免疫性膵炎の一例 |
演者 | 長瀬 秀顕(水戸済生会総合病院 消化器内科) |
共同演者 | 鹿志村 純也(水戸済生会総合病院 消化器内科), 宗像 紅里(水戸済生会総合病院 消化器内科), 中村 琢也(水戸済生会総合病院 消化器内科), 濱中 紳策(水戸済生会総合病院 消化器内科), 大川原 健(水戸済生会総合病院 消化器内科), 渡辺 孝治(水戸済生会総合病院 消化器内科), 柏村 浩(水戸済生会総合病院 消化器内科), 浅野 康治郎(水戸済生会総合病院 消化器内科), 仁平 武(水戸済生会総合病院 消化器内科) |
抄録 | 【はじめに】自己免疫性膵炎(AIP)の多くはIgG4関連疾患の膵臓病変と考えられている。しかし、稀にIgG4陰性のidiopathic duct-centric pancreatitis(IDCP)といわれる2型AIPが報告されている。【症例】60歳、男性。主訴:心窩部痛。既往歴:57歳から高血圧にて加療していた。アルコール歴:ビール 350ml/1日。現病歴:2013年2月から心窩部痛を自覚していた。近医を受診後、3月に当院へ紹介となった。来院時現症:心窩部に圧痛を認めた。血液検査:AST 325、ALT 545、ALP 1488、γ-GTP 754、T-bil 1.67、AMY 93、膵型AMY 86、リパーゼ 450、エラスターゼ1 1932と胆道系酵素の上昇を伴う肝機能異常と膵酵素の上昇を認めた。画像検査:膵臓全体の腫大と胆管拡張を認めた。以上から自己免疫性膵炎を疑い精査を行った。腹部エコーとEUSでは膵臓全体が低エコーで腫大していた。ERCPでは瀰漫性膵管狭細像と下部胆管狭窄を認めた。しかし、IgG 1172、IgG4 32.4、抗核抗体マイナス、リウマチ因子5未満とIgG4関連疾患は否定的であった。他臓器病変も認めないことからIDCPの可能性を考えてエコー下膵生検を施行した。膵腺房の萎縮と線維化、炎症細胞浸潤を認めたが、IgG4免疫染色は陰性であった。以上からIgG4陰性自己免疫性膵炎疑いと考えてステロイド治療を行った。プレドニン30mg/日から開始して2週毎に漸減した。治療開始1ヶ月後の画像検査にて膵腫大と胆管拡張が軽快したことを確認した。【考案】AIPには1型のLPSPと2型のIDCPがある。わが国でのAIPの多くは1型でありIgG4が高値を示す。2型は明らかな血清学的マーカーがないことから膵臓の組織学的検討が必要である。しかし、針生検で得られる小さな組織では確診するのは困難と考えられている。本症例においても膵組織の炎症と線維化、IgG4陽性細胞の浸潤を認めないことは言えるもののIDCPと確実な診断は出来なかった。しかし、AIPとしての典型的な画像所見とステロイド治療に対する反応から2型AIPと考えた。今後、症例が蓄積されてIgG4陰性自己免疫性膵炎の病態が解明されることが期待される。 |
索引用語 | 自己免疫性膵炎, IgG4陰性 |