セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 75:

骨髄線維症に対する骨髄移植後、GVHD治療中に発症し、術前診断が困難であった良性肝内胆管狭窄の1切除例

演者 武田 鉄平(東京慈恵会医科大学 肝胆膵外科)
共同演者 柴  浩明(東京慈恵会医科大学 肝胆膵外科), 脇山 茂樹(東京慈恵会医科大学 肝胆膵外科), 今津 博雄(東京慈恵会医科大学 内視鏡科), 二川 康郎(東京慈恵会医科大学 肝胆膵外科), 飯田 智憲(東京慈恵会医科大学 肝胆膵外科), 奥井 紀光(東京慈恵会医科大学 肝胆膵外科), 島田 淳一(東京慈恵会医科大学 肝胆膵外科), 熊谷  祐(東京慈恵会医科大学 肝胆膵外科), 阿部 恭平(東京慈恵会医科大学 肝胆膵外科), 春木 孝一郎(東京慈恵会医科大学 肝胆膵外科), 遠山 洋一(東京慈恵会医科大学 肝胆膵外科), 石田 祐一(東京慈恵会医科大学 肝胆膵外科), 矢永 勝彦(東京慈恵会医科大学 肝胆膵外科)
抄録 症例は65歳男性。既往歴は骨髄線維症に対して骨髄移植を受けている。移植後GVHDがあり、免疫抑制剤内服継続中であった。外来通院中、肝機能障害、閉塞性黄疸を指摘され、精査加療のため入院となった。腹部MRIでは、左肝管からB2、B3分岐部で胆管の描出が途絶、それより末梢の肝内胆管拡張を認めた。肝内胆管、総胆管に結石、また、胆管炎を反映すると考えられる門脈域の肥厚を認め、胆管炎を合併した肝内胆管癌または肝内結石症の疑いであった。しかしながら、肝機能障害、閉塞性黄疸発症6ヶ月前の腹部CTでも、軽度の肝内胆管拡張および胆管炎所見を認めており、GVHDによる胆管障害の可能性も示唆された。ERCPでは、左肝内胆管に腫瘍性と思われる狭窄と、総胆管結石、肝内結石を認めた。減黄を目的として左肝管にERBDを留置した。胆管擦過細胞診はclass III(2回)であった。CA19-9 249 U/ml、DUPAN-2 480 U/mlと上昇を認めた。以上より、肝内胆管腫瘍を疑い、肝左葉切除術を施行した。病理診断では、肝内胆管狭窄部位に沿った白色の線維化巣を認め、胆汁うっ滞による肝傷害との関連が疑われたが、骨髄移植に伴う胆管の組織学的変化としては非典型的であった。明らかな腫瘍性病変は認めなかった。骨髄線維症に対する骨髄移植後、GVHD治療中に肝機能障害、閉塞性黄疸で発症し、術前診断が困難であった良性肝内胆管狭窄の1切除例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 骨髄移植後GVHD, 肝内胆管狭窄