セッション情報 | 専修医セッション(卒後3-5年) |
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タイトル | 34:肝内多発結節を認めた特発性門脈圧亢進症の1例 |
演者 | 都筑 美紗(東京慈恵会医科大学内科学講座 消化器・肝臓内科) |
共同演者 | 石田 仁也(東京慈恵会医科大学内科学講座 消化器・肝臓内科), 高見 信一郎(東京慈恵会医科大学内科学講座 消化器・肝臓内科), 佐藤 憲一(東京慈恵会医科大学内科学講座 消化器・肝臓内科), 上竹 慎一郎(東京慈恵会医科大学内科学講座 消化器・肝臓内科), 有廣 誠二(東京慈恵会医科大学内科学講座 消化器・肝臓内科), 穂苅 厚史(東京慈恵会医科大学内科学講座 消化器・肝臓内科), 石川 智久(東京慈恵会医科大学内科学講座 消化器・肝臓内科), 高木 一郎(東京慈恵会医科大学内科学講座 消化器・肝臓内科), 田尻 久雄(東京慈恵会医科大学内科学講座 消化器・肝臓内科) |
抄録 | 【緒言】特発性門脈圧亢進症(idiopathic portal hypertension:IPH)とは,脾腫,貧血,門脈圧亢進を示し,しかも原因となるべき肝硬変,肝外門脈・肝静脈閉塞,血液疾患,寄生虫症,肉芽腫性肝疾患,先天性肝線維症などを証明し得ない疾患をいう.本症の病因は未だ不明であるが,肝内末梢門脈血栓説,脾原説,自己免疫異常説などが言われている.今回我々は,肝内多発結節を契機に発見された特発性門脈圧亢進症の1例を経験したので報告する.【症例】症例は72歳男性.2006年より汎血球減少にて当院腫瘍・血液内科にて経過観察されていた.2009年に肝S7に結節性病変を指摘されたが,炎症性偽腫瘍と診断され経過観察となった.2013年,S7病変の増大,および肝内に多発する結節性病変を認めたため,精査加療目的にて7月当院入院となった.血液検査では汎血球減少(WBC 1600 /μl,Hb 13.2 g/dl,Plt 4.2万 /μl),肝障害(AST 55 IU/l,ALT 36 IU/l)を認めたが,肝炎ウイルスマーカー,各種自己抗体は陰性であった.肝dynamic CTおよびEOB・プリモビストMRIでは,肝両葉に漸増性の造影増強効果を示す多発結節性病変を認めたが,画像所見による鑑別は困難であった.上下部消化管内視鏡検査では食道静脈瘤(Lm,F2,Cb,RC2)を認めた.肝生検では,腫瘍性変化や肝硬変像を認めず,肝内末梢門脈枝の狭小化,異常血行路の発達,炎症を伴う不規則な線維化巣を認め,特発性門脈圧亢進症と診断した.今後は腹部血管造影による精査,および食道静脈瘤に対する内視鏡的治療を行う予定である.【考察】特発性門脈圧亢進症に伴う結節性病変の多くは非腫瘍性の過形成あるいは再生性の良性結節であり,様々な画像所見を呈するため,その確定診断に困難をきたすことが多い.本症例は画像所見による鑑別は困難であったが,病理学的には門脈系の血流異常によって形成された結節性病変と考えられた.【結語】肝内多発結節を認めた特発性門脈圧亢進症の1例を経験した.比較的稀な症例と考え報告した. |
索引用語 | 特発性門脈圧亢進症, 食道静脈瘤 |