セッション情報 一般演題

タイトル 91:

シネMRIで診断し、ルビプロストンが奏功した巨大結腸症の一例

演者 河村 晴信(小田原市立病院 消化器内科)
共同演者 大久保 秀則(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 中島 淳(横浜市立大学附属病院 消化器内科)
抄録 【背景】難治性便秘症は病的腸管拡張を伴うものと伴わないものに分類されるが、巨大結腸症は、慢性偽性腸閉塞症(CIPO)と並び腸管の病的拡張を伴うものの代表的疾患である。今回我々は、様々な内服治療に抵抗性であったがルビプロストンが奏功した巨大結腸症の1例を経験したので報告する。【症例】47歳女性。アルコール3合/日の摂取歴がある。もともとアルコール性肝障害で近医かかりつけであったが、2013年6月頃から次第に腹部膨満と高度の便秘が出現するようになった。内視鏡検査やCTなどで器質的疾患は否定的であった。大建中湯やその他各種内服薬の処方を受けるがあまり効果はなく、次第に症状増悪し、嘔吐も出現するようになったため当院に精査目的に紹介となった。シネMRIを施行したところ、小腸の病的拡張や蠕動低下はなくCIPOは否定的であったが、結腸の病的拡張及び内容物停滞を認め、巨大結腸症と診断した。各種治療で難治性であったがルビプロストンを投与したところ排便コントロールがつくようになり、腹部膨満感や嘔気は改善した。【考察】巨大結腸症は外科的治療により症状寛解が得られる可能性があるが、CIPOは手術による効果は期待できずむしろ悪化することが多いため、両者の鑑別は臨床上非常に重要である。本症例はシネMRIを用いることでCIPOを除外し、巨大結腸症との診断に結びついた。外科的治療はあくまでも最終的な選択肢であり、それ以前にあらゆる内科治療の試みが必須であるが、巨大結腸症の治療としてセンノサイドなどの刺激性下剤は無効であることが多く、またpolyethylene glycolが使用されることがあるが保険適応となっていない。昨年本邦で承認されたルビプロストンは、小腸上皮に発現するtype-2クロライドイオンチャネルを活性化することで腸管内への腸液の分泌を上げ、便を柔軟化し排便を促進させる。今回の症例で巨大結腸症などの難治性便秘に対しての有効性も示唆され、今後さらなる症例の集積及び治療効果の検討が望まれる。
索引用語 巨大結腸症, ルビプロストン