セッション情報 | 研修医セッション(卒後2年迄) |
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タイトル | 56:保存的治療により治癒したイレウス症状を来した小腸アニサキス症 |
演者 | 鈴木 利直(君津中央病院 消化器科) |
共同演者 | 亀崎 秀宏(君津中央病院 消化器科), 今井 雄史(君津中央病院 消化器科), 大和 睦実(君津中央病院 消化器科), 稲垣 千晶(君津中央病院 消化器科), 矢挽 眞士(君津中央病院 消化器科), 妹尾 純一(君津中央病院 消化器科), 藤本 竜也(君津中央病院 消化器科), 山田 博之(君津中央病院 消化器科), 大部 誠道(君津中央病院 消化器科), 吉田 有(君津中央病院 消化器科), 駒 嘉宏(君津中央病院 消化器科), 藤森 基次(君津中央病院 消化器科), 畦元 亮作(君津中央病院 消化器科), 鈴木 紀彰(君津中央病院 消化器科), 福山 悦男(君津中央病院 消化器科) |
抄録 | 【症例】特に既往歴のない44歳女性。【現病歴】某日昼食中に腹痛を自覚した。数分で改善したが、夕方から間欠的疝痛が出現した。深夜になっても改善なく近医受診した。スコポラミン・ペンタゾシン使用されるも症状改善は得られず、翌日の外来紹介受診となった。受診時、腹部全体に強い疝痛を訴えており、血液検査上、炎症反応の軽度高値を認めたが、その他の検査結果に特に異常を認めなかった。発症前日夕食にしめさば・いわし・あじなど鮮魚の摂食歴があったため、アニサキス症を疑い、緊急上部消化管内視鏡を施行した。虫体は観察されなかったものの、胃体中部前壁に線状の発赤あり。同部位に虫体が付着し、自然脱落した可能性も考えられた。腹部造影CT施行し、小腸の限局性拡張・浮腫、腹水貯留を認めた。なおfree airはなく、絞扼性の所見は認めなかった。小腸アニサキス症疑いとして入院とし、絶食・補液・抗生剤投与にて治療を開始した。入院後繰り返し鎮痛薬を投与したにも関わらず疼痛の軽減を認めず、イレウス管挿入も考慮されたが、過去の報告を参考にステロイド投与したところ、症状改善が得られ、画像所見も改善を認め、ステロイドは漸減していくこととし、退院となった。入院当日の抗アニサキス抗体は陰性であったが、二週間後に陽転化を確認、小腸アニサキス症と診断確定した。【考察】小腸アニサキス症は症状が激烈なことも多く、診断・治療を兼ねて手術が施行されることも少なくない。アニサキスは物理的組織障害を起こすだけでなく、アレルギーに起因する症状も引き起こすことが知られており、ステロイド投与や抗ヒスタミン薬の投与などで改善を認めている報告もある。本症例では入院後も疝痛は続き、疼痛コントロールに難渋したが、ステロイド投与を行ったところ、症状は速やかに消退し、その後の画像評価でも腸管浮腫の改善・腸管ガスの減少を確認することができた。保存的治療により改善を認め、外科的処置を回避することができた貴重な一例と考え報告する。 |
索引用語 | アニサキス, イレウス |