セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 38:進行性に多発増大し肝腫瘍との鑑別に苦慮したPeliosis hepatisの一例 |
演者 | 松本 高明(北里大学東病院 消化器内科) |
共同演者 | 奥脇 裕介(北里大学東病院 消化器内科), 南野 勉(北里大学東病院 消化器内科), 田中 賢明(北里大学東病院 消化器内科), 高田 樹一(北里大学東病院 消化器内科), 日高 央(北里大学東病院 消化器内科), 中澤 貴秀(北里大学東病院 消化器内科), 渋谷 明隆(北里大学東病院 消化器内科), 小泉 和三郎(北里大学東病院 消化器内科), 大部 誠(北里大学東病院 病院病理部), 三枝 信(北里大学東病院 病院病理部), 松永 敬二(北里大学東病院 放射線画像診断科) |
抄録 | 【症例】77歳男性.2010年2月前立腺癌と診断され,内分泌療法及び放射線療法施行,以後経過観察されていた.2012年3月,定期的な腹部超音波検査にて肝右葉に腫瘤像を認め,当科紹介となった.血液検査では肝胆道系酵素の軽度上昇を認めるのみ,腹部超音波検査では肝S6,S7にそれぞれ3cm,5cm大の内部に高エコーを有する不整形な低エコー腫瘤を認めた.腹部造影CT上は,同腫瘤は動脈相から静脈相にかけて中心部から徐々に広がる造影効果を示した.EOB-MRIではT1強調像で低信号,T2強調像で高信号,Dynamic撮像で中心部から次第に造影され,肝細胞相では内部不均一な像を示した.確定診断のため肝腫瘍生検を施行,病理組織学的には類洞の著明な拡張を認め,明らかな肝細胞及び血管内皮細胞の異型,門脈域の炎症細胞浸潤は認められなかった.以上よりPeliosis hepatisと診断,経過観察とした.しかしその後も腫瘤は増大傾向を示し,転移性肝腫瘍が否定できず再度肝腫瘍生検を施行した.結果,前回と同様の細い肝細胞索と類洞の拡張を認めるのみであり,転移性肝腫瘍は否定的であった.その後,現在まで経過観察を行っているが,腫瘤はさらに多発,増大傾向を示している.Peliosis hepatisは剖検や腹腔鏡検査の際,あるいは検診等で偶然に発見されることがほとんどで,無症候で経過することが多いが,稀に多発,増大し肝不全に至る例や,肝腫瘍との鑑別に苦慮する例が報告されている.今回,進行性に多発,増大し,臨床上転移性肝腫瘍との鑑別が困難であったPeliosis hepatisの一例を経験したので報告する. |
索引用語 | 肝腫瘍, peliosis hepatis |