セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 5:

食道から胃小彎にかけて存在する扁平上皮癌に対し、TS-1+Cisplatinが有効であった一例

演者 山城 雄也(上尾中央総合病院 消化器内科)
共同演者 和久津 亜紀子(上尾中央総合病院 消化器内科), 大舘 幸太(上尾中央総合病院 消化器内科), 外處 真道(上尾中央総合病院 消化器内科), 柴田 昌幸(上尾中央総合病院 消化器内科), 片桐 真矢(上尾中央総合病院 消化器内科), 近藤 春彦(上尾中央総合病院 消化器内科), 平井 紗弥可(上尾中央総合病院 消化器内科), 三科 友二(上尾中央総合病院 消化器内科), 深水 雅子(上尾中央総合病院 消化器内科), 長澤 邦隆(上尾中央総合病院 消化器内科), 明石 雅博(上尾中央総合病院 消化器内科), 渡邉 東(上尾中央総合病院 消化器内科), 笹本 貴広(上尾中央総合病院 消化器内科), 土屋 昭彦(上尾中央総合病院 消化器内科), 西川 稿(上尾中央総合病院 消化器内科), 山中 正己(上尾中央総合病院 消化器内科)
抄録 症例は68歳男性、主訴は腹痛。2012年9月に当院当科で急性胆嚢炎を入院の上保存的加療し軽快。抗血小板薬二剤を内服していたため、手術は施行しなかった。この時腹部CT、MRI上胃小弯側のリンパ節腫大を指摘されていたが、上下部内視鏡上明らかな腫瘍性病変を認めず、胆嚢炎に伴う反応性の腫大と考え外来経過観察となっていた。2013年9月に腹痛を主訴に外来受診。腹部CT施行したところ胃体部小弯の壁肥厚とそれに連続する腫瘤影を認め、腹部大動脈周囲、両側腸骨動脈周囲までのリンパ節腫大と多発肝腫瘤を認め精査加療目的に入院となった。上部消化管内視鏡を施行したところ、胃体部小弯を中心として下部食道から連続する発赤調で不整な粘膜を認め、同部位の生検結果扁平上皮癌と診断された。食道癌の胃浸潤もしくは胃原発扁平上皮癌と考えられたが、腫瘍の首座は胃に存在し胃癌に準じてTS-1+Cisplatin(TS-1 3週間投与2週休薬、8日目Cisplatin点滴静注)による化学療法を開始した。2クール目day7で帯状疱疹の出現により化学療法を一時的に中止としたが、上部消化管内視鏡を施行したところ不整な粘膜は著明に改善しており、胃体上部小弯にわずかな発赤と趨壁肥厚を残すのみであった。胃扁平上皮癌は胃癌全体の0.09%と稀な疾患であり、その化学療法に関してはこれまで5FU+CDDPが有効であった報告や、TS-1+CDDPが奏功しdawn stagingにより治癒切除可能であった報告などがあるが一定の見解はない。本症例は食道から連続した病変であり食道癌の胃浸潤を否定しえず胃原発の扁平上皮癌と厳密には診断できないが、その治療としてTS-1+CDDPが有効であり示唆に富む症例と考えられるため、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 胃扁平上皮癌, 化学療法