セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 63:

原発不明神経内分泌癌の肝転移、肺転移、多発骨転移に対し、放射線療法、カルボプラチン・エトポシド併用での加療を行い一定の治療効果をみた一例

演者 露木 和彬(防衛医科大学校病院 内科学講座2)
共同演者 井上 悌仁(防衛医科大学校病院 内科学講座2), 高城 健(防衛医科大学校病院 内科学講座2), 尾崎 隼人(防衛医科大学校病院 内科学講座2), 古橋 廣崇(防衛医科大学校病院 内科学講座2), 山下 允孝(防衛医科大学校病院 内科学講座2), 丸田 紘史(防衛医科大学校病院 内科学講座2), 安武 優一(防衛医科大学校病院 内科学講座2), 成松 和幸(防衛医科大学校病院 内科学講座2), 佐藤 宏和(防衛医科大学校病院 内科学講座2), 碓井 真吾(防衛医科大学校病院 内科学講座2), 渡辺 知佳子(防衛医科大学校病院 内科学講座2), 高本 俊介(防衛医科大学校病院 光学医療診療部), 冨田 謙吾(防衛医科大学校病院 内科学講座2), 緒方 衝(防衛医科大学校病院 病理部), 高橋 威洋(防衛医科大学校病院 腫瘍化学療法部), 市川 度(防衛医科大学校病院 腫瘍化学療法部), 川口 淳(公立昭和病院 予防検診センター), 穂苅 量太(防衛医科大学校病院 内科学講座2), 永尾 重昭(防衛医科大学校病院 光学医療診療部), 三浦 総一郎(防衛医科大学校病院 内科学講座2)
抄録 【症例】60歳代男性【主訴】腰痛【現病歴】平成25年4月上旬より腰痛のため近医を受診したが、症状が改善せず、6月下旬に市民病院を受診したところ、腹部CTで肝腫瘤、骨腫瘤を認め、精査加療目的で当院当科を紹介された【入院後経過】造影CTで肝右葉に10cm大、左腸骨に8cm大の周囲が濃染される中心壊死性の腫瘤を認めた。AFP、PIVKA-2の上昇を認め、HCCも鑑別に考えたが、他臓器への進展もあり手術適応にはないため、肝腫瘤・腸骨腫瘤より針生検を施行した。クロモグラニンA、シナプトフィジン陽性で、神経内分泌腫癌と診断され、肝細胞抗原OCH1E5は陰性でHCCは否定的であった。原発に関しては、肺に20mm大の腫瘤を認めるが、TTF-1は陰性で、NETの形態を持つ神経内分泌癌と組織診断もなされており、肺が原発か否か精査するためのみの気管支鏡下生検の適応はないと考えられた。上部消化管内視鏡検査で悪性を示唆する所見はなく、大腸内視鏡検査は安静度のため施行できなかった。頸椎・胸椎・腰椎の多発骨転移の手術適応はなく、装具装着で安静とした。治療は、腰椎・骨盤部に少量分割照射で30Gyの放射線療法を行うと同時に、小細胞癌に準じ、カルボプラチン・エトポシド併用で開始した。悪性腫瘍に伴う高Ca血症を認め、ビスホスホネート製剤、ゾレドロン酸の投与を行った。SIADHや異所性ACTH症候群などの、腫瘍随伴症候群はみられなかった。投与後、CTCAEでGrade1の消化器症状と、Grade2の血球減少は出現したが、腫瘍崩壊症候群や過敏反応はみられなかった。3クールを施行した後、画像上肝腫瘤、肺腫瘤、多発骨腫瘤のいずれも縮小を認め、RECISTクライテリアでPR相当、腫瘍マーカーの減少、LDHの減少を認め、一定の治療効果を得ることができた。現在も化学療法を継続中である【考察】今回我々は原発不明神経内分泌癌の肝転移、肺転移、多発骨転移例に対し、カルボプラチン・エトポシドでの併用を行い、一定の治療効果を見た一例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する
索引用語 神経内分泌癌, カルボプラチン